質問主意書

第185回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第九九号

内閣参質一八五第九九号
  平成二十五年十二月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員小西洋之君提出小松一郎内閣法制局長官の資質に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出小松一郎内閣法制局長官の資質に関する質問に対する答弁書

一、二及び四について

 御指摘の平成二十五年十一月二十五日の参議院決算委員会における小松一郎内閣法制局長官(以下「小松長官」という。)の答弁は、小西洋之委員からの御質問に対し、内閣法制局長官として、衆議院議員辻元清美君提出集団的自衛権の行使に関する質問に対する答弁書(平成二十五年八月十三日内閣衆質一八四第五号)一から三までについてで述べた政府の考え方を説明することで誠実に答弁したものであり、この小松長官の答弁を含め、内閣法制局長官が、御指摘のような「より明確かつより具体的な文言による憲法解釈に係る答弁を複数回にわたり求められて、これを故意に拒否あるいははぐらかし等し続けた例」はない。

三、十二及び十三について

 行政府としての憲法解釈は最終的に内閣の責任において行うものであるが、内閣法制局は、内閣法制局設置法(昭和二十七年法律第二百五十二号)に基づき、「閣議に附される法律案、政令案及び条約案を審査し、これに意見を附し、及び所要の修正を加えて、内閣に上申すること」、「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること」等を所掌事務として内閣に置かれた機関であり、行政府による行政権の行使について、憲法を始めとする法令の解釈の一貫性や論理的整合性を保つとともに、法律による行政を確保する観点から、内閣等に対し意見を述べるなどしてきたものであり、今後とも、その職責を果たしていくことは当然であると考えている。

五から九までについて

 小松長官の外務省入省以降の主な職歴は、同省条約局法規課長、同局条約課長等を経て同省欧州局長、同省国際法局長、スイス国兼リヒテンシュタイン国駐箚特命全権大使、フランス国兼アンドラ国モナコ国駐箚特命全権大使及び内閣法制局長官である。また、小松長官前の三人の内閣法制局長官の内閣法制局参事官着任以降の職歴は、宮﨑礼壹元内閣法制局長官については、内閣法制局参事官、同総務主幹、同第二部長、同第一部長、内閣法制次長及び内閣法制局長官であり、梶田信一郎元内閣法制局長官については、内閣法制局参事官、自治省税務局市町村税課長、兵庫県総務部長、内閣法制局総務主幹、同第三部長、同第一部長、内閣法制次長及び内閣法制局長官であり、山本庸幸前内閣法制局長官については、内閣法制局参事官、通商産業省生活産業局繊維製品課長、日本貿易振興会本部企画部長、内閣法制局第一部中央省庁等改革法制室長、同第四部長、同第二部長、同第三部長、同第一部長、内閣法制次長及び内閣法制局長官である。
 内閣法制局長官の任命は、内閣法制局長官に求められる能力や適性等を公正かつ厳格に判断し、適材適所の観点から行っているものである。
 内閣法制局長官は、内閣法制局の事務を統括するものとされているところ、その具体的な方法については、案件の内容等によって異なることから、一概に申し上げることは困難であるが、重要な案件については、内閣法制局長官の決裁を経て決定している。
 内閣法制局における条約案の審査に関する事務は第三部において行っており、第三部長は、そのほかに、金融庁、総務省(公害等調整委員会を除く。)、外務省、財務省及び会計検査院の所管に属する事項に係る法律案等の審査を行っている。また、同部において条約案の審査に関する事務を担当する参事官は、そのほかに、総務省のうち行政評価局及び財務省のうち国際局(一部の課を除く。)の所管に属する事項に係る法律案等の審査を行っている。

十について

 お尋ねは、個人に関する情報であることから、お答えすることを差し控えたいが、内閣法制局長官の給与については、特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の規定に基づいて支給している。なお、現在、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平成二十四年法律第二号)に基づく支給額の百分の二十に相当する額の給与減額支給措置が講じられているところである。

十一について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、国家公務員についても、憲法第二十二条第一項が定める職業選択の自由は保障されている。