質問主意書

第185回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第九三号

内閣参質一八五第九三号
  平成二十五年十二月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員秋野公造君提出医療及び介護の専門的知見に基づく成年後見制度の利用促進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員秋野公造君提出医療及び介護の専門的知見に基づく成年後見制度の利用促進に関する質問に対する答弁書

一から三まで及び五について

 お尋ねは、いずれも裁判所の実務運用に関わるものであり、政府としてお答えする立場にないが、法律上は、医師の診断書を添付することは、後見、保佐又は補助(以下「後見等」という。)の開始の申立ての要件とはされておらず、また、お尋ねの「医師が後見・保佐・補助のいずれかの区分に相当すると診断している診断書を、申立人が診断とは別の区分に相当することの根拠として申立てに使用すること」や、家庭裁判所が本人の精神の状況につき鑑定を行うなどした結果、提出された診断書に記載された医師の意見とは異なる判断をすることは制限されておらず、さらには、お尋ねの「後見・保佐・補助の必要性がないところまで症状が改善した」ことを「客観的に証明する手段」は、医師の診断書に限定されていない。

四について

 お尋ねは、裁判所の実務運用に関わるものであり、政府としてお答えする立場にないが、一般に、審級により裁判所の判断が分かれることはあり得るものと承知している。

六について

 成年後見人、保佐人及び補助人は、後見等の事務を行うに当たっては、本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮すべき義務を負っているから、本人の精神の状況に変化があり、後見等の開始の原因が消滅した場合等には、後見等の開始の審判の取消し等の申立てをした上で、必要に応じて、その根拠となる資料を裁判所に提出するなどの適切な措置を講ずることが期待されているものと考えられる。

七について

 お尋ねの「成年後見制度利用者の状況の変化」や「後見人の事務が医療、福祉の観点から必ずしも適切でない場合」の趣旨が必ずしも明らかではないが、本人の精神の状況に変化があり、後見等の開始の原因が消滅した場合等には、法律上、本人やその配偶者等の親族等が後見等の開始の審判の取消しの申立て等をすることができることとされている。御指摘の「医師の判断により裁判所に情報提供する」制度については、これに加えて新たな制度を設ける必要性の有無や、医師にこのような情報提供の負担を課することの相当性の有無等を総合的に考慮した上で、慎重に検討する必要があるものと考える。

八について

 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、法律上、「本人の同意がなければならない」とされている。他方、後見開始の審判若しくは保佐開始の審判又は後見等の開始の審判の取消しの審判をするには、法律上、原則として本人の「陳述を聴かなければならない」とされているが、御指摘の「本人の意向に沿う」ことは要件とはされていない。