質問主意書

第185回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第八九号

内閣参質一八五第八九号
  平成二十五年十二月十三日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員山本太郎君提出東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故により放出された放射性セシウム以外の放射性核種に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故により放出された放射性セシウム以外の放射性核種に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「原発事故により放出されたヨウ素百三十一が降下したことにより、住民が初期被ばくを受けた」の意味するところが必ずしも明らかでないが、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故(以下「事故」という。)の後に、国、都道府県等が実施した環境放射能水準調査等の放射線モニタリングの結果によると、人工放射性核種が全国の都道府県で観測されている。
 また、環境省においては、平成二十四年度から、事故の初期の短半減期放射性核種による甲状腺被ばく線量の推計を行っているが、現時点では、お示しできる段階には至っていない。

二及び四について

 お尋ねの住民の健康調査の必要性については、放射性物質が降下したかどうかや放射性ヨウ素による初期被ばく防護に関する対策が万全かどうかではなく、被ばくした線量を踏まえた医学的な評価に基づいて決定すべきものと認識している。
 また、先の答弁書(平成二十五年十一月二十六日内閣参質一八五第六四号。以下「六四号答弁書」という。)一及び二についてでお答えしたとおり、政府としては、現在福島県において実施されている甲状腺超音波検査等を着実に進めていくことが重要と考えている。
 なお、被ばくした線量を踏まえた医学的な評価に基づいて、福島県における甲状腺超音波検査など適切な施策が講じられているところであり、政府としては、憲法第二十五条の規定の趣旨に反するものであるとは考えていない。

三について

 お尋ねについては、政府としては、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会が平成二十三年十二月二十六日に取りまとめた中間報告書及び同委員会が平成二十四年七月二十三日に取りまとめた最終報告書において住民の避難、安定ヨウ素剤の服用指示等に関して記載されているとおりであると認識している。

五について

 六四号答弁書一及び二についてでお答えしたとおり、事故に係る福島県民の被ばく線量については、福島県が行った調査において、外部被ばく、内部被ばくともに、放射線による健康影響があるとは考えにくい数値であると評価されていると承知している。

六について

 お尋ねの「現在の福島県内外の地域において、原発事故により放出された放射性核種を人体が体内に取り込む経路」の意味するところが必ずしも明らかでないが、一般論として申し上げれば、原子力災害対策指針(平成二十四年十月三十一日原子力規制委員会決定)において、内部被ばくの経路には、放射性物質を吸入、経口摂取等により体内に取り込むことがあるとされている。

七について

 政府としては、五についてで述べた評価を踏まえつつ、「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」において、健康管理の現状や課題を把握し、今後の施策の在り方を検討しているところである。
 なお、被ばくした線量を踏まえた医学的な評価に基づいて、福島県における県民健康管理調査など適切な施策が講じられているところであり、政府としては、憲法第二十五条の規定の趣旨に反するものであるとは考えていない。

八について

 政府としては、放射線被ばくによる健康影響に関して、国際的に認められた科学的知見を踏まえ、政策を検討することが重要であると認識している。

九について

 御指摘の答弁書(平成二十五年十月二十九日内閣参質一八五第二一号。以下「二一号答弁書」という。)十についてにおいては、食品中の放射性物質に関する基準値は、セシウム百三十四及びセシウム百三十七(以下「放射性セシウム」という。)以外の核種の測定に時間を要することを踏まえ、放射性セシウムの濃度を設定した旨をお答えしたものである。一方、御指摘の政府参考人答弁は、当該基準値が放射性セシウム、ストロンチウム九十、プルトニウム二百三十八、プルトニウム二百三十九、プルトニウム二百四十、プルトニウム二百四十一及びルテニウム百六を考慮に入れて設定されていることを理由に、食品中の放射性物質に関する検査において、ストロンチウム九十を測定する必要はない旨を述べたものであり、これと二一号答弁書との間に齟齬はないものと考えている。
 なお、食品中の放射性物質に関する検査とは別途、通常の食生活における食品からの放射性物質の摂取状況を把握するため、厚生労働省において行った調査においては、ストロンチウム九十についても対象としたところである。

十について

 お尋ねの「情報」の意味するところが必ずしも明らかでないが、いずれにせよ、特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号)第二条に規定する行政機関以外の者が独自に保有している情報については、同法第三条第一項の規定による特定秘密として指定されることはない。