質問主意書

第185回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第八八号

内閣参質一八五第八八号
  平成二十五年十二月十三日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員川田龍平君提出放射性物質による汚染がれきの焼却処理等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出放射性物質による汚染がれきの焼却処理等に関する質問に対する答弁書

一の1、2及び4について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

一の3について

 御指摘の「データ」については、集約していない。

二の1について

 環境省としては、御指摘の「分布割合」を測定及び分析しておらず、お答えすることは困難である。

二の2及び3について

 お尋ねの「一般のごみ焼却場で使用しているバグフィルターで捕捉される粒径」は、〇・一ミクロンまでであり、当該数値は、社団法人全国都市清掃会議(現在の公益社団法人全国都市清掃会議)が平成十八年に出版した「ごみ処理施設整備の計画・設計要領 二〇〇六改訂版」に記載されている。
 また、お尋ねの「最大値、最小値及び平均値」については、御指摘の「メーカーの仕様書」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

二の4について

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和四十六年厚生省令第三十五号)第四条第一項第七号に規定する要件を満たす焼却施設においては、焼却炉内で摂氏八百度以上となり、放射性セシウムの一部は気化して排ガス中に移行し、バグフィルターに入る前に摂氏二百度以下になるため、排ガス中に含まれる放射性セシウムは、主に、塩化セシウムとして凝縮し、固体状態になり、排ガス中に含まれる他の物質と共に凝集してばいじんになると考えられる。こうした焼却炉内における放射性セシウムの挙動については、環境省が平成二十三年十二月に策定し、平成二十五年三月に改訂した「廃棄物関係ガイドライン 第二版」(以下「ガイドライン」という。)に示されており、ガイドラインについては、放射能、廃棄物処理等の専門家により構成された災害廃棄物安全評価検討会(以下「検討会」という。)における議論を踏まえ、同省が策定したものである。

三の1及び4について

 お尋ねの放射性セシウム濃度の測定方法については、平成二十三年十二月に、第十回及び第十一回の検討会において検討が行われ、環境省が策定した「廃棄物関係ガイドライン 第一版」において示されるとともに、処分に伴い生じた排ガスを排出する場合における排ガス中の事故由来放射性物質の濃度の測定方法(平成二十三年環境省告示第百十一号。以下「排ガス測定方法告示」という。)において定められたものであり、適切な方法であると考えている。また、第十回及び第十一回の検討会においては、この測定方法に関して、問題点は指摘されていない。

三の2について

 放射性セシウムが採取されたろ紙は、排ガス測定方法告示及びガイドラインにおいて、ゲルマニウム半導体検出器を用いて測定することとされている。また、セシウム百三十四及びセシウム百三十七の測定の際に目標とする検出下限値については、ガイドラインにおいて、測定時間等を踏まえ、いずれも、一立方メートル当たり二ベクレルとすることとされている。

三の3について

 環境省としては、お尋ねの「抽出割合」に関する知見については承知していない。

三の5及び6、四並びに五について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則(平成二十三年環境省令第三十三号)第三十三条等に定める事業場周辺の大気中の事故由来放射性物質についての濃度限度(以下「大気中の濃度限度」という。)は、同一人が零歳から七十歳になるまでの間、大気中の濃度限度に相当する放射性セシウムを含む排ガスを摂取したとしても、追加被ばく線量が年間一ミリシーベルト以下となる濃度であり、適切なものであると考えていることから、お尋ねの総量規制の導入や、地方自治体が独自に大気中の濃度限度よりも厳しい基準の設定を行う必要はないと考えている。
 なお、大気中の濃度限度については、内閣府原子力安全委員会(当時)及び放射線審議会の答申を経た上で定められたものである。