質問主意書

第185回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第八五号

内閣参質一八五第八五号
  平成二十五年十二月十三日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員中西健治君提出中国による防空識別圏設定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中西健治君提出中国による防空識別圏設定に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 国土交通省航空局交通管制部運用課航空情報センターにおいて、本年十一月二十三日に中国が発出した「東シナ海防空識別区」の設定等に関するノータム(以下「ノータム」という。)を認識し、同センターから航空会社に対して、ノータムに関する情報提供を行ったのは、いずれも、同日午前十一時十九分頃である。

三の1について

 お尋ねの本年十一月二十三日に開催された関係省庁の局長級会議(以下「会議」という。)には、外務省から総合外交政策局及びアジア大洋州局が、国土交通省から大臣官房及び航空局が、それぞれ参加した。

三の2について

 御指摘の「発表」については、関係省庁において、速やかに関係大臣、関係部署の局長等に対し、報告が行われたところである。

三の3について

 会議においては、関係省庁間で、中国が設定した「東シナ海防空識別区」(以下「識別区」という。)に関する各種の情報を集約するとともに、今後の対応について協議を行ったところであるが、事柄の性質上、それらの内容の詳細について明らかにすることは差し控えたい。

四について

 お尋ねについては、本年十一月二十五日午後四時三十分頃に抗議を行った。また、齋木外務事務次官はその時点において、本邦の航空会社が中国側の求めに応じて、識別区を飛行する航空機の飛行計画を提出していた事実を認識していた。

五及び六の1から4までについて

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、国土交通省から定期航空協会を通じて本邦の航空会社に対し、識別区に関する中国側の措置は我が国に対して何ら効力を有するものではない旨、及び我が国としては、これまでのルールどおりの運用を行っていく旨の方針を伝達したのは、本年十一月二十五日午後八時四十分頃である。
 また、この時点で、ノータムは、機長が航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第七十三条の二の規定等に基づき運航に必要な準備が整っていることを確認するために必要な情報に当たらないことは、文書で通知するまでもなく明らかであると考えている。なお、同省においては、同協会から問合せを受けたことから、同月二十六日午後九時三十分頃に、その旨口頭で回答したところである。

六の5及び七について

 四についてで述べた抗議を行った際、中国側から、識別区に関する措置は特定国を対象としたものではなく、民間航空機を含め飛行の自由を妨げるものではない旨の回答を得ているところ、政府としては、本邦の航空会社がノータムに従わず、飛行計画を中国側へ提出しない場合であっても、直ちに安全上の問題はないと考えている。
 また、航空法第七十三条の二及び航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)第百六十四条の十四の規定により、機長に対して、航空機を出発させる前に航空機の運航に必要な準備が整っていることを確認する際に、同法第九十九条の規定により国土交通大臣が提供する情報を確認するよう義務付けているが、識別区に関する中国側の措置は我が国に対して何ら効力を有するものではなく、ノータムは機長が航空機の運航に必要な準備が整っていることを確認するために必要な情報に当たらないことから、機長がノータムを確認する義務はない。このため、本邦の航空会社がノータムに従わず、飛行計画を中国側へ提出しない場合であっても、同法及び同規則に抵触することはない。

六の6及び八について

 識別区への対応については、日米両国は民間航空機の安全確保を脅かす行動は一切許容しないことで一致しており、緊密に連携・協力しているが、外交上の個別のやり取りの詳細について明らかにすることは、米国との関係もあり、差し控えたい。
 なお、政府が本邦の航空会社に対し、「規則の解釈変更を行って提出の取止めを要請した。」との御指摘は当たらない。

九について

 安倍内閣総理大臣は、本年十一月二十五日の参議院決算委員会において、識別区に関する中国側の措置は我が国に対して何ら効力を有するものではない旨、及び外交ルートを通じて、中国側に対し、公海上における飛行の自由を妨げるような一切の措置の撤回を求めている旨を答弁している。