質問主意書

第185回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第七九号

内閣参質一八五第七九号
  平成二十五年十二月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員山本太郎君提出放射線被ばく環境下における居住に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出放射線被ばく環境下における居住に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「放出された放射性物質が降下した都道府県」の意味するところが必ずしも明らかでないが、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故後に、国、都道府県等が実施した環境放射能水準調査等の放射線モニタリングの結果によると、人工放射性核種が全国の都道府県で観測されている。

二について

 原子炉施設から放出される放射性物質については、原子炉施設の周辺監視区域外における一般公衆の被ばく線量が年間一ミリシーベルト以下となるように放射能濃度等の限度を定めているものであり、お尋ねの「「周辺監視区域外等における線量限度年間一ミリシーベルト」を超える地域」という概念はないものと認識している。
 また、お尋ねの「福島県内で、避難指示が出されず原発事故以降も住民が居住を続けている地域又は避難指示が解かれ居住が認められている地域」は、いずれも周辺監視区域外に該当する。

三について

 お尋ねの「「原子炉施設の周辺監視区域外等における線量限度」として規定された「年間一ミリシーベルト」」は、外部被ばく線量と内部被ばく線量の比率は規定せず、外部被ばく線量と内部被ばく線量を合算した数値である。

四について

 お尋ねの「バックグラウンド放射線量の数値」については、各々の調査ごとに測定業者が定めており、政府としては、過去の実測値等を踏まえ、設定されているものと承知している。

五について

 一定の被ばく線量以上では、年齢差や性差によって、放射線被ばくによる人体への影響に差異はあると認識している。

六について

 政府としては、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第七十一条第二項に基づく人事院規則一〇―五(職員の放射線障害の防止)第十三条第二項、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第十七条に基づく医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号)第三十条の十六第二項、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三十二年法律第百六十七号)第十五条第一項に基づく放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則(昭和三十五年総理府令第五十六号)第十五条第一項第十二号及び労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第二十七条第一項に基づく電離放射線障害防止規則(昭和四十七年労働省令第四十一号)第三条第四項の規定により、それぞれ外部放射線の線量が一定の線量を超えているおそれがある等の場所である管理区域に人が立ち入らないよう措置を講ずること等としているが、当該管理区域は、法令上、お尋ねの「一般住民が就業、飲食など日常生活を営みつつ居住すること」を想定している場所ではない。

七について

 お尋ねの「「放射線管理区域」の設定基準にも相当する区域又は地域」の意味するところが必ずしも明らかでないが、「現存被ばく状況」は、国際放射線防護委員会の勧告において、緊急事態の後の長期の被ばく状況を指すものと認識している。

八について

 お尋ねの「住民の個人線量計による被ばく線量管理」の意味するところが必ずしも明らかでないが、現在行われている測定は、電離放射線障害防止規則に基づき実施されているものではなく、使用される個人線量計は、多くの場合、同規則第八条に基づく測定に用いられるものと同じ日本工業規格(JIS)に基づくものであるため、結果として、一センチメートル線量当量及び七十マイクロメートル線量当量について行うものが一般的となっていると承知している。
 また、お尋ねの「不均等被ばくを受ける不均一な放射能汚染環境下」及び「放射線障害防止法との法的整合性」の意味するところが必ずしも明らかでないが、お尋ねの住民の被ばく線量の評価は、放射性同位元素の使用等を規制する放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則の適用外であることから、同規則の違反とならないと考えている。

九について

 お尋ねの「個人線量計を常時複数個携帯せねばならない不均等被ばくを受ける環境下において、子ども及び妊婦を居住させ続けること」の意味するところが必ずしも明らかでないが、一般論として申し上げれば、子供や妊婦が精神的ストレスを感じることは問題であると考えている。
 また、お尋ねの「従来我が国において予防原則のもと運用されてきた放射線被ばく防護に関する法令を反故にし、なし崩し的に国民の被ばく基準を緩和すること」の意味するところが必ずしも明らかでないため、これについてお答えすることは困難である。