質問主意書

第185回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六四号

内閣参質一八五第六四号
  平成二十五年十一月二十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員山本太郎君提出東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故による被ばく者の健康調査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故による被ばく者の健康調査に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねの「原発事故による被ばく者」の意味するところが必ずしも明らかでないが、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故に係る福島県民の被ばく線量については、福島県が行った調査において、外部被ばく、内部被ばくともに、放射線による健康影響があるとは考えにくい数値であると評価されていると承知している。
 また、福島県以外の地域については、岩手県、宮城県、茨城県、栃木県及び群馬県において、各県が主体となって開催された有識者会議等において、被ばく線量の把握も含め、特段の健康調査は必要ないとの結論が出ていることに加え、世界保健機関(WHO)や原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)においても、がんなどの健康影響の増加が認められる見込みはないと評価されていると承知している。
 したがって、政府としては、現在、福島県が行っている被ばく線量を把握するための調査等を着実に実施していくことが重要と考えており、御指摘のような検査を無料で受診可能とする体制が必要とは考えていない。

三について

 我が国の医療保険制度においては、基本的に、疾病、負傷等の発生を保険事故として保険給付が行われるものであり、医師が患者の症状等に応じて必要と認めた場合に実施されるものでない検査については、保険給付の対象とされていないところ、政府としては、御指摘の「全国的に統一した対策」を講ずる必要はないと考えている。

四について

 お尋ねの「被ばく者の診療記録」の意味するところが必ずしも明らかではなく、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)等で定める診療録等の保存期間を超えて保管すべき記録の範囲や対象者、保管する目的が明らかではないため、お答えすることは困難である。
 また、福島県の実施している県民健康管理調査においては、甲状腺検査の結果については、既に受検者の求めに応じ必要な手続を経た上で、必要な画像等を提供していると承知している。
 なお、お尋ねの「甲状腺超音波検診によって記録された画像データ及び被ばく検査に関わる個人資料」を民間の医療機関が保有している場合、当該医療機関は、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第二十五条の規定に基づき、本人から当該画像データ等の開示を求められたときは、原則として、本人に対し開示しなければならないこととされている。

五について

 一及び二についてでお答えしたとおり、政府としては、現在、福島県が行っている被ばく線量を把握するための検査、調査等を着実に実施していくことが重要と考えており、御指摘のような追加的な調査等を行うことは必要ないと考えている。
 なお、御指摘の答弁書(平成二十五年十月二十九日内閣参質一八五第二一号)十についてでは、セシウム百三十四及び百三十七以外の核種であるトリチウム等を測定するために、尿など生体試料を用いた検査が必要とお答えしたところであるが、住民の内部被ばくを調査する際には、当該検査を行う必要があるとの見解は示していない。