質問主意書

第185回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六三号

内閣参質一八五第六三号
  平成二十五年十一月二十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員山本太郎君提出放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律及び今後予定されている環境関連法令の改正等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律及び今後予定されている環境関連法令の改正等に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、昨年、原子力規制委員会設置法(平成二十四年法律第四十七号)附則第五十一条の規定により環境基本法(平成五年法律第九十一号)が改正され、放射性物質による環境の汚染を防止するための措置も同法の対象とされたことを受け、法律ごとに個別の事情を踏まえた精査を行った結果、放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律(平成二十五年法律第六十号。以下「整備法」という。)において、所要の整備を行うこととしたものである。現在、整備法の施行に向けた準備を進めているところであり、今後は、整備法の施行の状況を勘案しつつ、御指摘の附帯決議を踏まえ、必要な措置を講じてまいりたい。

二について

 大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)及び水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)については、これらの法律の規定を改正する整備法の規定の施行の日が整備法の公布の日(平成二十五年六月二十一日)から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日とされていることから、当該規定の施行の日までに必要な政省令の整備を行うための準備を進めているところである。また、南極地域の環境の保護に関する法律(平成九年法律第六十一号)については、同法の規定を改正する整備法の規定の施行の日が整備法の公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日とされていること、及び環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)については、同法を改正する整備法の規定の施行の日が整備法の公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日とされていることから、それぞれの規定の施行の日までに必要な政省令の整備を行うための検討を進めているところである。

三について

 放射性物質により汚染された廃棄物、土壌等に関する規制の在り方その他の放射性物質に関する法制度の在り方については、事故由来放射性物質(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号。以下「特措法」という。)第一条に規定する事故由来放射性物質をいう。以下同じ。)により汚染された廃棄物の処理や除染等の措置等の状況を踏まえつつ、特措法附則第五条及び第六条に基づいて検討することとしている。

四について

 東京電力福島第一原子力発電所から廃棄される液体の放射性廃棄物の濃度については、原子力規制委員会により核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)に基づき必要な規制が行われているところであり、水質汚濁防止法を改正することは考えていない。

五について

 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理は、その実施される地域によらず、特措法及び特措法第二十二条の規定により読み替えて適用される廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)に基づき実施されており、大気汚染防止法を改正することは考えていない。

六について

 御指摘の事案のような不法投棄事案については、特措法及び特措法第二十二条の規定により読み替えて適用される廃棄物処理法において措置命令や罰則が設けられているなど、既に必要な規定が定められているところであり、現行法の改正や新法の制定を行う考えはない。

七について

 事故由来放射性物質により汚染され、又はそのおそれがある一般廃棄物及び産業廃棄物については、特措法及び特措法第二十二条の規定により読み替えて適用される廃棄物処理法に従って、市町村、事業者等が適正に処理することとされている。仮に、その処理において、生活環境の保全上支障が生じ、又はそのおそれがある場合は、市町村長等は、必要に応じ、廃棄物処理法第十九条の四第一項又は第十九条の五第一項に規定する処分者等に対しその処理状況等について報告させ、当該支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができることとされている。
 このため、国がその処理状況等の追跡調査を行う予定はない。

八について

 お尋ねは、具体的な事例における捜査機関の活動内容に関わる事柄であることから、政府として、お答えすることは差し控えたい。
 一般論として申し上げれば、捜査機関においては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づいて、適切に対処しているものと承知している。