質問主意書

第185回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二九号

内閣参質一八五第二九号
  平成二十五年十一月五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員又市征治君提出一般用医薬品のインターネット販売を含む法の適正化、明確化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員又市征治君提出一般用医薬品のインターネット販売を含む法の適正化、明確化に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 厚生労働省としては、一般用医薬品のインターネット販売(薬局開設者(薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「法」という。)第七条第一項に規定する薬局開設者をいう。以下同じ。)又は店舗販売業者(法第二十七条に規定する店舗販売業者をいう。以下同じ。)が行う薬局又は店舗販売業者の店舗以外の場所にいる者に対するインターネットによる販売又は授与をいう。以下同じ。)を行っている薬局又は店舗販売業者の店舗の全数は把握していないが、同省が都道府県等を通じて調査した結果によると、平成二十五年二月末時点において、第一類医薬品又は第二類医薬品(以下「第一類医薬品等」という。)のインターネット販売を行っている薬局又は店舗販売業者の店舗の数は百五十である。第一類医薬品等のインターネット販売を行っている薬局開設者又は店舗販売業者が第一類医薬品等のインターネット販売を開始した理由については、把握していない。
 また、都道府県等においては、最高裁判所平成二十五年一月十一日第二小法廷判決(以下「最高裁判決」という。)において、薬事法施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号。以下「規則」という。)のうち、「店舗販売業者に対し、一般用医薬品のうち第一類医薬品及び第二類医薬品について、①当該店舗において対面で販売させ又は授与させなければならない(百五十九条の十四第一項、二項本文)ものとし、②当該店舗内の情報提供を行う場所において情報の提供を対面により行わせなければならない(百五十九条の十五第一項一号、百五十九条の十七第一号、二号)ものとし、③郵便等販売をしてはならない(百四十二条、十五条の四第一項一号)ものとした各規定は、いずれも上記各医薬品に係る郵便等販売を一律に禁止することとなる限度において、新薬事法の趣旨に適合するものではなく、新薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効というべきである。」とされたことを踏まえ、現時点において第一類医薬品等のインターネット販売を行った薬局開設者又は店舗販売業者に対して、当該各規定に違反する行為があった場合における法第七十二条の四第一項の規定によるその業務の運営の改善に必要な措置を採るべきことを命ずる等の措置は講じていないと承知しているが、同省としては、最高裁判決を踏まえ、同日に厚生労働大臣談話を発表し、薬局開設者及び店舗販売業者に対して、医薬品の販売を行う際、安全確保のための方策に十分配意することが重要であり、慎重な対応を行うよう、また、国民に対して、一般用医薬品の使用のリスクを十分に認識し、適切に対応するよう、それぞれ求めたところである。

一の3並びに八の1及び2について

 一般用医薬品のインターネット販売に関する薬事監視については、厚生労働省において関係省庁及び都道府県等やプロバイダ等とも連携しつつ、監視体制の強化に努めているところである。
 また、一般用医薬品のインターネット販売に関する制度の見直しについては、同省において最高裁判決や同省の「一般用医薬品の販売ルール策定作業グループ」(以下「作業グループ」という。)が平成二十五年十月八日に取りまとめた「一般用医薬品の販売ルール等について」(以下「作業グループ報告書」という。)等を踏まえ、薬事監視の実効性が確保されるよう、法制上の措置を含め、適切に対応してまいりたい。

二について

 先の答弁書(平成二十一年十二月八日内閣参質一七三第七八号)は、その当時の考えをお示ししたものであるが、厚生労働省としては、最高裁判決において、「新薬事法三十六条の五及び三十六条の六は、いずれもその文理上は郵便等販売の規制並びに店舗における販売、授与及び情報提供を対面で行うことを義務付けていないことはもとより、その必要性等について明示的に触れているわけでもなく」とされたことや作業グループ報告書等を踏まえ、一般用医薬品の販売に関する制度の見直しについて、法制上の措置を含め、適切に対応してまいりたい。

三の1及び2について

 お尋ねの「各販売方法におけるルールとバランスが取れたもの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、規則第百五十九条の十四の規定により、薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者(法第三十一条に規定する配置販売業者をいう。以下同じ。)(以下「薬局開設者等」という。)が一般用医薬品を販売する場合は、いずれも、医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者(法第二十六条第二項第二号に規定する登録販売者をいう。以下同じ。)(以下「薬剤師等」という。)に、自ら又はその管理及び指導の下で一般従事者をして、販売させなければならないとしており、「薬事法の一部を改正する法律等の施行等について」(平成二十一年五月八日付け薬食発第〇五〇八〇〇三号厚生労働省医薬食品局長通知。以下「施行通知」という。)は、薬剤師等の管理及び指導の下で一般従事者が一般用医薬品を販売する方法として、配置販売業者における一般従事者が、顧客から情報提供の求めがあった場合等に速やかに医薬品を配置する場所において薬剤師等に情報提供を行わせることができる適切な体制の下で御指摘の「二回目以降の補充」(以下「再配置」という。)を行うこと等を示すとともに、事業所における一般用医薬品の配置販売に当たっての情報提供については、薬剤師等がその代表者に行うものとし、配置販売を行うことのできる事業所の規模は、当該事業所の代表者と医薬品を使用する者との意思疎通が十分に確保される範囲とすることを示したものである。

三の3について

 事業所の代表者が従業員に一般用医薬品を使用させる行為が法第二十四条に違反するか否かについては、個別具体的な事例に即して判断すべきものであり、一概にお答えすることは困難である。

三の4について

 一般用医薬品の販売に関する制度の見直しについては、厚生労働省において最高裁判決や作業グループ報告書等を踏まえ、法制上の措置を含め、適切に対応してまいりたい。

三の5及び七について

 三の1及び2についてで述べたとおり、厚生労働省としては、規則第百五十九条の十四の規定により、薬局開設者等が一般用医薬品を販売する場合は、医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師等に、自ら又はその管理及び指導の下で一般従事者をして販売させなければならないとし、また、施行通知により、薬剤師等の管理及び指導の下で一般従事者が一般用医薬品を販売する方法として、配置販売業者における一般従事者が、顧客から情報提供の求めがあった場合等に速やかに医薬品を配置する場所において薬剤師等に情報提供を行わせることができる適切な体制の下で再配置を行うこと等を示しているところであり、御指摘の「一般用医薬品を販売(又は配置)する場合は、毎回必ず専門家が直接関与すること」等を法に規定することは考えていない。
 また、一般用医薬品の販売又は授与に従事しようとする者がそれに必要な資質を有することを確認するための登録販売者試験(法第三十六条の四第一項に規定する試験をいう。)の受験資格としての実務経験については、薬剤師等の管理及び指導の下で一般用医薬品の販売時の情報提供を補助する業務又はその内容を知ることができる業務等の実務に従事していたこととすることが適当であると考えている。

四の1について

 作業グループ報告書については、平成二十五年九月二十日に開催された作業グループの第四回会合において、作業グループ報告書の案の文言の修正及び作業グループの会合を改めて開催するか否かについて、作業グループの座長が判断することとされ、その後、作業グループの座長が各構成員から提出された報告書の案に対する意見を確認した上で、作業グループの会合を改めて開催する必要はないと判断し、作業グループとして同年十月八日にこれを取りまとめ公表したものである。

四の2について

 厚生労働省の「スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合」(以下「専門家会合」という。)が平成二十五年十月八日に取りまとめた「スイッチ直後品目等の特性及び販売時の留意点について」(以下「専門家会合報告書」という。)については、スイッチ直後品目等(法第三十六条の三第一項第一号に規定するその製造販売の承認の申請に際して法第十四条第八項第一号に該当するとされた医薬品であって当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの及び一般用医薬品のうち法第四十四条第二項に規定する劇薬であるものをいう。以下同じ。)の特性及び販売時の留意点について、専門家会合において三回にわたり議論が行われ、専門家会合の各構成員の合意が得られたことから、専門家会合として同日にこれを取りまとめ公表したものである。

四の3について

 スイッチ直後品目等を含めた一般用医薬品のインターネット販売に関する制度の見直しについては、厚生労働省において、最高裁判決や専門家会合報告書等を踏まえ、法制上の措置を含め、適切に対応してまいりたい。

四の4について

 お尋ねの「強い要請」及び「店舗における代理人購入の際の本人確認の方法」への対処の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般用医薬品の販売に関する制度の見直しについては、厚生労働省において、最高裁判決や作業グループ報告書等を踏まえ、法制上の措置を含め、適切に対応してまいりたい。
 また、お尋ねの「配置における二回目以降の無資格者による配置」及び「事業所配置の違法性」への対処の意味するところが必ずしも明らかではないが、三の1及び2についてで述べたとおり、同省としては、施行通知により、薬剤師等の管理及び指導の下で一般従事者が一般用医薬品を販売する方法として、配置販売業者における一般従事者が、顧客から情報提供の求めがあった場合等に速やかに医薬品を配置する場所において薬剤師等に情報提供を行わせることができる適切な体制の下で再配置を行うこと等を示すとともに、事業所における一般用医薬品の配置販売に当たっての情報提供については、薬剤師等がその代表者に行うものとし、配置販売を行うことのできる事業所の規模は、当該事業所の代表者と医薬品を使用する者との意思疎通が十分に確保される範囲とすることを示しているところである。

五の1及び2について

 お尋ねの登録販売者の研修を請け負う「教育機関の数、教育の中味(教員、教材、カリキュラム等)」については、把握していない。
 また、厚生労働省としては、「登録販売者の資質の向上のための外部研修に関するガイドライン」(平成二十四年三月二十六日付け薬食総発〇三二六第一号厚生労働省医薬食品局総務課長通知別添)を作成し、都道府県等を通じて薬局開設者等に対し、外部研修の内容として、人体の働きと医薬品、主な一般用医薬品とその作用等を含めること等を周知しているところであるが、御指摘の「登録販売者研修、既存配置研修」については、現時点において、同省として特定の団体等を指定して行わせることは考えていない。

五の3について

 御指摘の「厚労省通知を更に精緻にし、薬事法に罰則を設け」の意味するところが必ずしも明らかではないが、登録販売者を含む従事者に対する研修の実施については、薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令(昭和三十九年厚生省令第三号)第一条第一項、第二条第一項及び第三条第一項の規定において、薬局開設者等が医薬品の販売又は授与の業務を行う体制の基準の一つとして定めているところであり、この基準に適合しなくなった場合においては、法第七十二条の二の規定により、都道府県等において、薬局開設者等に対して、当該基準に適合するようにその業務の体制を整備することを命ずる等の措置を講ずることとしている。

六について

 「薬事法第二十五条の医薬品の許可の種類に、「インターネット販売業の許可」を加えざるを得ないのではないか」とのお尋ねについては、作業グループ報告書において「一般用医薬品の販売は、薬局・薬店の許可を取得した店舗が行うことと」するとされ、また、「薬事法第三十六条の六第四項の文言を変更するべき」との御指摘については、作業グループ報告書で「情報提供義務の免除規定について、ア)医師・薬剤師等や同じ品目を継続して使用する者に対して販売する場合であって、かつ、イ)薬剤師が説明を必要としないと認めるときに限ることとする。」とされており、厚生労働省としては、一般用医薬品の販売に関する制度の見直しについては、最高裁判決や作業グループ報告書等を踏まえ、法制上の措置を含め、適切に対応してまいりたい。

八の3について

 一般用医薬品の販売に関する制度の見直しについて検討を行った作業グループには、消費者庁もオブザーバーとして参画したところであり、厚生労働省としては、今後とも、必要に応じて、他省庁と連携してまいりたい。