質問主意書

第185回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二一号

内閣参質一八五第二一号
  平成二十五年十月二十九日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員山本太郎君提出放射線被曝防護に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出放射線被曝防護に関する質問に対する答弁書

一から五までについて

 お尋ねの「我が国の一般公衆の平常時における年間の被曝線量限度」の意味するところが必ずしも明らかでないが、一般公衆の被ばく線量限度の規制は設けられていない。なお、国際放射線防護委員会(以下「ICRP」という。)の勧告等を参考に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)や、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三十二年法律第百六十七号)等において、内部被ばく及び外部被ばくを考慮して、原子炉施設の周辺監視区域外等における線量限度を年間一ミリシーベルトと規定している。
 また、お尋ねの「原発作業員の白血病労災認定基準の年間被曝線量限度」の意味するところが必ずしも明らかでないが、「電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準について」(昭和五十一年十一月八日付け基発第八百十号労働省労働基準局長通達)においては、年間の電離放射線の被ばく線量の限度は設けていない。
 さらに、お尋ねの「年間二十ミリシーベルト」については、ICRPの勧告等を参考にして定めており、政府としては、現在、福島県内の状況は、同勧告で定義される現存被ばく状況におおむね移行しているものと認識している。

六について

 政府としては、御指摘の「事故収束宣言」が、御指摘の答弁によって撤回されたものとは認識していない。

七について

 お尋ねについては、ICRPの勧告等を踏まえ、避難指示解除日以降年間二十ミリシーベルト以下となることが確実であることを、避難指示を解除するための要件としている。

八について

 御指摘の検査結果の評価に用いる換算係数については、ICRPの勧告に定められている換算値が用いられている。これは、ICRPが、放射線に関する専門家から構成される国際組織であり、我が国においても、従来から、その勧告を放射線防護対策を講ずる上での基礎として取り入れているためと承知している。
 また、御指摘の食品中の放射性物質に関する暫定規制値は、内閣府原子力安全委員会(当時。以下「原子力安全委員会」という。)の「原子力施設等の防災対策について」(昭和五十五年六月三十日原子力安全委員会決定)に目安として示されていた飲食物の摂取制限に関する指標を用いたものであり、この指標を算出する際に用いたシーベルトをベクレルへ換算する係数は、ICRPの勧告等の値を原子力安全委員会において検討した上で、その値を用いたものと承知している。

九について

 政府としては、体内に取り込んだ放射性物質の核種の違いによって人体への影響に差異はあると考えている。

十について

 お尋ねについては、内部被ばくを簡便に検査できるホールボディカウンターでは、セシウム百三十四及びセシウム百三十七(以下「放射性セシウム」という。)以外の核種であるトリチウム、ストロンチウムなど検査できないものもあり、それらは尿など生体試料を用いた検査が必要となるなど、大規模な検査には合理的でないところ、放射性セシウム以外の核種は、環境中の濃度が放射性セシウムに比べ少ないことから内部被ばくへの寄与は小さく、ホールボディカウンターを用いて放射性セシウムのみを測定しているものと承知している。
 また、食品中の放射性物質に関する検査は、放射性セシウム、ストロンチウム九十、プルトニウム二百三十八、プルトニウム二百三十九、プルトニウム二百四十、プルトニウム二百四十一及びルテニウム百六を考慮に入れて設定した食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)に基づく基準値に従い実施されているところである。なお、当該基準値は、放射性セシウム以外の核種の測定に時間を要することを踏まえ、放射性セシウム以外の核種からの線量を含め、食品を摂取することによる被ばく線量が、年間一ミリシーベルトを超えないように放射性セシウムの濃度を設定したものである。