質問主意書

第185回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一九号

内閣参質一八五第一九号
  平成二十五年十月二十九日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員山本太郎君提出福島県鮫川村における農林業系副産物等処理実証事業及び仮設焼却施設の爆発事故等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出福島県鮫川村における農林業系副産物等処理実証事業及び仮設焼却施設の爆発事故等に関する質問に対する答弁書

一について

 環境省では、福島県鮫川村(以下「鮫川村」という。)において、小型の仮設焼却施設を設置し、放射性物質に汚染された鮫川村内の農林業系廃棄物等を焼却することにより、これらの減容化を図ることを目的とする農林業系副産物等処理実証事業(以下「実証事業」という。)を実施している。
 お尋ねの「用地選定及び取得に至る経緯」については、その意味するところが必ずしも明らかではないが、同省では、鮫川村から提示を受けた土地を実証事業の用地として選定した。
 実証事業の受託者については、同省において、応募者から提出された企画書を審査し、業務に対する理解度、業務の実施方法や実施体制等を総合的に評価の上、選定した。
 お尋ねの「操業に至る経緯」については、その意味するところが必ずしも明らかではないが、仮設焼却施設の操業に当たっては、鮫川村等の関係機関への説明、鮫川村や同省が開催した説明会における地域住民等への説明、確認運転等を行ったところである。なお、当該説明会の議事録については、同省として作成していない。
 実証事業に要する費用については、平成二十四年度から平成二十六年度までの三年間で、総額七億三千五百万円と見込んでいる。
 お尋ねの「生活環境調査」については、その意味するところが必ずしも明らかではないが、実証事業における仮設焼却施設は、一時間当たりの処理能力が二百キログラム未満であることから、その許可の申請の際に施設の周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果が求められる廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第八条の許可の対象となる施設には当たらず、実証事業において当該調査は実施していない。
 お尋ねの「リスク評価」及び「生活環境調査及びリスク評価との整合性」については、それらの意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、先に述べた確認運転において、仮設焼却施設における排ガス中の放射性セシウム濃度等を測定し、本格運転を支障なく行うことができることを確認している。

二について

 環境省において、お尋ねのような事実は承知していない。

三について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、一についてで述べたとおり、実証事業の受託者については、環境省において、応募者から提出された企画書を審査し、業務に対する理解度、業務の実施方法や実施体制等を総合的に評価の上、選定した。
 お尋ねの「確認試験の実施結果」については、同省のホームページで公表している。

四について

 実証事業においては、例えば、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号。以下「法」という。)が適用されており、法において、指定廃棄物(法第十九条に規定する指定廃棄物をいう。以下同じ。)等の処理について規定されている。

五について

 実証事業においては、御指摘の電離放射線障害防止規則(昭和四十七年労働省令第四十一号)が適用されている。環境省においては、受託者に対し、平成二十五年七月一日から施行することとされた改正後の同規則の内容について、情報提供してきた。

六から十一までについて

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十五年八月二十九日に発生した実証事業における主灰コンベア破損事故(以下「破損事故」という。)の状況、原因、再発防止対策等については、環境省のホームページで公表している。

十二について

 お尋ねの緊急時連絡体制については、鮫川村及び鮫川村青生野地区に隣接する市町の意見を踏まえて改善することとしている。

十三について

 お尋ねの事故防止対策については、仮設焼却炉と主灰コンベアとの間にあるゲートを二重の構造に改良した上で、仮設焼却炉から主灰を排出する際には、毎回、主灰を二つのゲートの間に落としてゲートを封じた後、必要に応じて、窒素を二つのゲートの間に注入することとしている。
 お尋ねの主灰コンベア内の換気については、セメント固型化室の環境集じん機を通じて行い、当該環境集じん機から大気中への排気については、放射性物質の大気中への排出を防止するためヘパフィルターを通じて行うこととしている。
 お尋ねのバーナーの能力向上については、重油使用時における仮設焼却炉の焼却能力を維持するべくバーナーの能力を引き上げることとしている。

十四について

 お尋ねの「人数を増強する必要性」、「役割分担」及び「責任区分」については、環境省のホームページで公表している。なお、お尋ねの「費用対効果」については、算出していないため、お答えすることは困難である。

十五について

 破損事故の補修に要する費用及び再発防止対策に要する費用については、現時点で算出しておらず、お答えすることは困難である。

十六について

 実証事業における焼却対象物の処理計画量については、鮫川村による土壌等の除染等の措置(法第二条第三項に規定する土壌等の除染等の措置をいう。以下同じ。)に伴い生じた廃棄物の発生量等を踏まえ、今後見直すこととしている。

十七について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

十八について

 鮫川村内における指定廃棄物の指定申請について、環境省が鮫川村に対し、平成二十五年七月まで見合わせるよう指示した事実はない。
 また、お尋ねの福島県内の指定廃棄物の指定状況については、同省では、同年においては三月三十一日及び八月三十一日の時点で集計し、公表したものである。

十九について

 お尋ねの指定廃棄物の指定については、環境省において、法に基づき適切に行っている。また、指定廃棄物については、法第十八条第一項による廃棄物の指定を申請した者等は、国等に引き渡されるまでの間、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則(平成二十三年環境省令第三十三号。以下「施行規則」という。)第十五条に規定する指定廃棄物の保管の基準に従い、保管しているものと考えている。
 なお、同省の各地方環境事務所においては、指定廃棄物の指定手続に当たり、申請書類の内容を確認するとともに、必要に応じて、当該指定廃棄物の保管場所を確認している。

二十について

 お尋ねについては、土壌等の除染等の措置に伴い生じた廃棄物を当該土壌等の除染等の措置を実施した土地において保管する者は、施行規則第六十条等に規定する当該廃棄物の保管の基準に従い、当該廃棄物の飛散及び流出を防ぐ措置を講ずるとともに、放射線の量を測定し、これを記録しているものと考えている。