質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六七号

原子力規制委員会による新規制基準適合性に係る審査に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十一月二十一日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   原子力規制委員会による新規制基準適合性に係る審査に関する質問主意書

 原子力規制委員会は、二〇一三年六月十九日に東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「原発事故」という。)の教訓を反映した新たな実用発電用原子炉に係る規制基準(以下「新規制基準」という。)を決定し、翌月施行した。この新規制基準は、原子力規制委員会が科学技術的見地から旧規制基準を抜本的に見直して制定したものであり、自然現象等による重大事故の発生防止対策の強化、重大事故発生時の影響緩和対策の導入を原子力事業者に要求している。なお、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の改正により、最新の技術知見を基準に反映するバックフィットが制度化されたことを受けて、既に設置許可等を得た施設に対しても新規制基準への適合を義務付けられることとなる。
 新規制基準が施行されてから四か月が過ぎ、申請のあった原子力発電所について、順次、新規制基準適合性に係る審査が行われているところ、以下質問する。

一 原子力規制委員会が新規制基準適合性に係る審査及び敷地内破砕帯調査を実施するに当たっては、公正に審査等を実施していることについて、当該原発立地地域住民を中心として広く国民の理解を求め、規制当局としての信頼を得ることが肝要である。そのためには、審査等に関する会合の議事録や配付資料を随時公開するだけでは足らず、それぞれの会合における議論の概要等について、その都度分かりやすく情報発信することが必要と考えるが、政府の見解如何。

二 原子力規制委員会は、日本原子力発電株式会社(以下「日本原電」という。)敦賀発電所の敷地内破砕帯調査に関し、日本原電より提出された公開質問状に対して十分に回答をしないことに見られるように、被規制者に対する十分な説明責任を果たしていないと考えられる。原子力規制委員会には、規制当局としての国民の信頼を得るため、不断の説明と透明性の確保が求められており、被規制側である原子力事業者からの質問に対しては誠実に回答し、その内容は公開されるべきだと考えるが、政府の見解如何。

三 新規制基準の内容や適合性審査の方法は、今後の原子力規制に係る国際的な協力の必要性を考えれば、国際的に孤立したものとならないように、国際機関や諸外国の定める規制基準等と整合性を有するものでなければならない。このため、今後、規制基準の見直しの検討や、適合性審査を実施する際には、関連する分野に関して高い知見を有する外国人を招へいし意見を聴取するなどして、審査結果等に反映すべきではないかと考えるが、政府の見解如何。

四 適合性審査は、そのスケジュールの全体像が示されない中で進められており、原子力規制委員会では、事業者からの資料の提出が遅れていることをもって、審査の遅れの理由と説明しているようであるが、提出すべき資料の内容について事業者に対して説明がなされていないためとも考えられるのではないか。
 また、資料が全て提出された後、審査にどの程度の期間を要すると想定しているのか示されたい。さらに、適切な審査のために現在の審査に関わる人員は十分であると考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。

五 原子力規制委員会は、原発事故の反省を踏まえて、原子力規制組織について、専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使することが可能な組織とすることを目的として設置された。このような設置目的は、現時点において、達成されていると評価しているか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。