質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六六号

「石綿による健康被害の救済に関する法律第三十七条第一項の一般拠出金率の改定案」に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十一月十九日

川田 龍平   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   「石綿による健康被害の救済に関する法律第三十七条第一項の一般拠出金率の改定案」に関する再質問主意書

 私が二〇一三年十一月七日に提出した「「石綿による健康被害の救済に関する法律第三十七条第一項の一般拠出金率の改定案」に関する質問主意書」(第百八十五回国会質問第四六号)(以下「質問主意書」という。)に対する同月十五日付けの答弁書(内閣参質一八五第四六号)(以下「答弁書」という。)が提出された。答弁書に関連して、以下質問する。

一 質問主意書の質問一に対して、答弁書では「石綿による健康被害の救済に関する法律第三十七条第一項の一般拠出金率の改定」については、同法第三十七条第三項の規定において中央環境審議会に意見を聴かなければならないとされている事項に「該当しない」としているが、同条第二項には「一般拠出金率は、救済給付の支給に要する費用の予想額、第三十二条第一項の規定による交付金及び同条第二項の規定による拠出金があるときはそれらの額並びに指定疾病の発生の状況その他の事情を考慮して、政令で定めるところにより、環境大臣が厚生労働大臣及び事業所管大臣と協議して定める」とあり、また、同条第三項には「環境大臣は、前項の政令の制定又は改廃に当たってその立案をするときは、中央環境審議会の意見を聴かなければならない」とある。
 したがって、本件は同条第三項の規定に該当し、中央環境審議会の意見を聴かなければならないと考えられるところ、該当しないとする理由を具体的に示されたい。

二 質問主意書の質問二に対して、答弁書では「「当事者関係団体」の意味するところが必ずしも明らかではない」とあったが、質問主意書で意味するところは、石綿健康被害救済基金に基づいて財源を徴収される者と石綿健康被害救済給付の支給を受ける者、あるいはそれらを代表する機関を指す。
 具体的には、二〇〇五年十一月三十日に総務省、環境省及び自民党幹部に「石綿による健康被害の救済に係る費用負担に関する申し入れ」を提出した全国知事会、二〇〇六年七月二十四日に開催された「石綿による健康被害の救済に係る事業主負担に関する検討会」の委員として招致した日本小型船舶検査機構、社団法人日本経済団体連合会及び全国中小企業団体中央会、二〇一〇年五月二十一日に開催された中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会(以下「小委員会」という。)でヒアリングのために招致した中皮腫・アスベスト疾患 患者と家族の会尼崎支部、全国建設労働組合総連合並びに尼崎市、あるいはこれらに付随・関連する団体を指す。右に挙げた団体の中で、相談した団体があれば具体的な日時及び相手方を明らかにされたい。

三 前記二に関連して、答弁書には「平成二十五年六月二十八日に救済小委員会が廃止されたことに伴い、その職を免じられており、相談等は行っていない」とあるが、今般の一般拠出金率の改定は、小委員会の議論に全面的に拠っていることが明らかである。二〇一三年十月三十一日付けで環境省ホームページに掲載された本件パブリックコメントに至るまでに、どのような形であれ、小委員会あるいは小委員会委員へ個別に相談するのが適当であったと考えられる。小委員会委員を経験した者に個別に相談などはしていないのか。相談した者がいれば具体的な日時及び相手方を明らかにされたい。

四 石綿による健康被害の救済に関する法律(以下「救済法」という。)は二〇一一年八月二十三日の衆議院環境委員会における佐田玄一郎議員の発言内容からも明らかなとおり、自民党及び公明党が中心となり法律の制定及びその後の改正がなされてきた。前記三に関連して、救済法の制定及び改正に携わった現与党国会議員らに対しても本件について一切相談、あるいは説明をしたことがないとの理解でよいか。相談、あるいは説明を行っていたのであれば具体的な日時及び相手方を明らかにされたい。

五 二〇一〇年五月二十一日の第七回小委員会で泉陽子室長(当時)は、「救済法の肺がんの申請数が少ないということであります。療養者について見ますと、中皮腫の申請が三千二百三件なのに対しまして、肺がんはその半分以下で、一千二百二十九件しか申請がないということでございます」との認識を示している。現在の中皮腫と肺がんの申請数及び比率を、泉室長の発言当時の件数及び比率と併せて示し、当時示された泉室長の認識について、現在も同様であるのか、政府の見解を示されたい。

六 前記五に関して、泉室長は救済法の制度設計当時の中皮腫患者数に対しての肺がん患者数の推計について、「石綿肺がんの患者数でございますが、これは当時、中皮腫の患者数の一・〇倍と仮定しております」と発言している。現在、肺がんの申請者数及び認定者数のいずれも、この仮定した比率に及んでいない。制度設計当時に仮定したこの比率について、政府の認識が変わったのであれば、その理由を具体的に示されたい。その際、理由として小委員会の議論及び結論を持ち出す場合には、その根拠となる委員の発言及び内容を具体的に示されたい。

七 質問主意書の質問四で求めた現在の認定状況に係る件数及び割合については数値が示されたが、人口動態統計調査に基づく中皮腫による死亡者数及び当該死亡者数から推測できる大まかな肺がん死亡者数に対して、現在の救済状況は十分なものになっているのかということについて、再度具体的に政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。