第185回国会(臨時会)
質問第六〇号 特定秘密の保護に関する法律案と拉致問題についての質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十五年十一月十四日 有田 芳生
参議院議長 山崎 正昭 殿 特定秘密の保護に関する法律案と拉致問題についての質問主意書 国家機密を漏洩した公務員らへの罰則を強化する特定秘密の保護に関する法律案(以下「この法案」とする)が平成二十五年十一月七日、衆議院本会議で審議入りしました。この法案と拉致問題の関係について、以下質問します。 一 北朝鮮による核・ミサイル・拉致問題に関するやり取りは、この法案の別表第二号(外交に関する事項)に該当する特定秘密の対象になりますか。 二 この法案により北朝鮮による拉致問題を特定秘密に指定するならば、その理由は何ですか。過去に拉致問題に関する機密を漏洩した公務員が存在したということですか。 三 現在の拉致問題対策本部は本部長である総理大臣を筆頭に全ての閣僚が構成員として名を連ねています。この法案により拉致問題が特定秘密とされた場合、対策本部会合や対策本部事務局の仕事に影響はありませんか。本年一月二十五日に決定された「拉致問題の解決に向けた方針と具体的施策」に掲げられた八項目のうち影響が出るのはどの項目ですか。政府の見解をあわせてお示し下さい。 四 拉致問題に関する問題は多岐にわたっています。拉致問題で諸外国とやり取りする外交分野を特定秘密に指定した場合、それ以外は特定秘密にはならないと理解してよろしいですか。政府は、私が本年一月二十八日に提出した「警察庁が開示した行政文書に関する質問主意書」(第百八十三回国会質問第三号)に対する答弁書(内閣参質一八三第三号)の中で、八百六十八名の家族・親族から現時点での捜査・調査状況について情報提供して欲しいとの依頼があった場合には、各都道府県警察において行方不明者の親族等に対し、捜査・調査に支障のない範囲でその状況を説明している旨の答弁をしています。こうした家族・親族をはじめ国民の拉致問題に関する知る権利は守られますか。政府の見解をあわせてお示し下さい。 五 拉致被害者の確たる生存情報があれば、それは特定秘密に指定されますか。また、拉致被害者の居住場所が確定されたとき、その情報は特定秘密に指定されますか。さらに、特定秘密に指定された場合に、その情報は被害者家族に知らされますか、前述の二つのケースそれぞれについてお示し下さい。 六 外務省はこれまで、拉致問題に関する国民からの情報公開請求に対しては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」とする)第五条第三項の「公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」を根拠として不開示決定を繰り返しています。この法案によらずとも、情報公開法第五条第三項を適用すれば済むことなら、特定秘密に指定しなくても良いのではないですか。 七 安倍首相は、拉致問題を「私の内閣で完全に解決する決意であり、この問題の解決を抜きに日朝の国交正常化はあり得ません」と所信表明演説で述べています。拉致問題をこの法案の特定秘密に指定するならば、どう完全解決に結びつくのか、具体的にお示し下さい。 八 政府は、拉致問題をこの法案の特定秘密に指定することを、政府認定の拉致被害者家族及び拉致の可能性を排除できない現八百六十三名の家族をはじめ、これまで拉致問題の早期解決を願ってきた圧倒的多数の国民世論が望んでいると確信していますか、政府の見解をお示し下さい。 右質問する。 |