質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五六号

アジア太平洋の安全保障に関するフォーラムの設置に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十一月十二日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   アジア太平洋の安全保障に関するフォーラムの設置に関する質問主意書

 欧州安全保障協力機構は、欧州、中央アジア、北米の五十七か国から成る世界最大の地域安全保障機構である。同機構は、軍備管理、国境管理、人身取引との闘い、テロとの闘い、紛争予防・解決、経済活動、教育、選挙、環境活動、ジェンダー平等、良い統治、人権、メディアの自由と発展、軍事改革・協力、少数民族の権利、法の支配、寛容と無差別等を活動分野とし、加盟国は、同機構の事務局が所在するウィーンに代表部を置いている。ウィーンにおいては、毎週、軍事代表を含む大使級会合が開催されており、安全保障上の課題等に関する二国間又は多国間の対話の枠組みとして機能し、危機の低減や紛争防止を支えている。
 一方、アジア太平洋地域には、欧州安全保障協力機構のように、毎週加盟国間の大使級会合が開催されるような、常設的な安全保障に関する対話フォーラムは存在しない。アジア太平洋地域における多国間の枠組みとしては、我が国も参加する東南アジア諸国連合地域フォーラムが存在するが、参加国が大使級会合を毎週開催するような日常的な対話の枠組みとして機能しているとは言えない。
 我が国周辺の安全保障環境は、周辺国の軍事力の近代化の継続に加え、北朝鮮によるミサイル発射や核実験実施を含む挑発行為、中国による領海侵入及び領空侵犯を含む我が国周辺海空域における活動の急速な拡大・活発化などがみられ、一層厳しさを増している。このような中で、我が国は、アジア太平洋地域において、対話により紛争を防止する並びに平和及び安全を確保する取組をより一層進める必要がある。
 右を踏まえ、以下質問する。

一 政府は、欧州安全保障協力機構及び東南アジア諸国連合地域フォーラムが、それぞれ紛争防止や信頼醸成などの分野で果たしてきた役割をどのように評価しているか。また、両機構の機能及び役割の違いはどのようなものと認識しているか。

二 アジア太平洋地域においても、欧州安全保障協力機構の機能、すなわち、毎週、大使級会合が開催され、安全保障上の課題等に関する二国間又は多国間の対話の枠組みとして機能し、危機の低減や紛争防止を支える枠組みが必要であると考えるが、政府の認識如何。

三 日本国憲法前文には「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とある。日本政府は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持する」ため、アジア太平洋地域における常設安全保障対話フォーラムの新設を主導すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。