質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四八号

二〇一三年度における経常収支赤字化の可能性と財政への影響に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十一月八日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   二〇一三年度における経常収支赤字化の可能性と財政への影響に関する質問主意書

 十月二十一日に財務省が発表した貿易統計(速報)によると、二〇一三年度上半期(四月から九月まで)分の貿易収支は四兆九千八百九十二億円の赤字となり、半期ベースとしては、比較可能な一九七九年度以降で過去最大の赤字となった。各月の貿易収支についても、二〇一三年九月まで十五か月連続で赤字となっており、この期間は第二次石油危機時の十四か月間を超え、過去最長となっている。さらに、二〇一三年度上半期の輸出額は二年半ぶりに増加しているものの、輸出数量は伸び悩んでいる状況にある。
 この状況を踏まえ、以下質問する。

一 政府は、原発停止による燃料輸入額の増加や円安によるJカーブ効果によるマイナスの影響などを貿易赤字の理由として挙げており、円安による輸出増が遅れて生じるJカーブ効果のプラスの影響は、いまだ顕著ではないと見られる。
 こうした状況を踏まえれば、今後、貿易赤字の額は拡大する可能性があり、二〇一三年度の貿易赤字は十兆円程度に及ぶことも考えられる。この場合、二〇一〇年度の貿易収支は約五・三兆円の黒字であったことを考えれば、この三年間で貿易収支は十五兆円ほど悪化することとなる。二〇一三年度の貿易収支額につき、政府はどの程度になると予測しているか示されたい。

二 貿易赤字を補うには、所得収支など貿易外収支が増える必要がある。しかし、財務省の国際収支状況(速報)によると、二〇一三年八月の所得収支は約一兆二千五百三十億円の黒字であり、前年同期比約十・〇パーセント減となっている。二〇一二年度の所得収支の黒字は約十四・七兆円であることを踏まえれば、二〇一三年度の所得収支の黒字も年間十二兆円から十四兆円程度しか期待できない。
 一方、サービス収支は二〇一二年度が約二・五兆円の赤字である。最近数年度も最大二兆円前後の赤字で推移していることから、二〇一三年度も同程度になると予測できる。
 以上のことから、貿易赤字が約十兆円、サービス収支の赤字が約二兆円とすると、所得収支の黒字が約十二兆円を割った場合には、経常収支が赤字になる可能性が生じるが、政府として二〇一三年度の経常収支の額がどの程度になると予測しているか示されたい。

三 経常収支が赤字化すると、これまで国内で消化できていた国債発行を海外資金に頼らざるを得なくなり、財政赤字のファイナンスが困難になるとの見解もあるが、この点につき、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。