質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四四号

環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十一月六日

山本 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に関する質問主意書

 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に関して、以下のとおり質問する。

一 平成二十五年四月十九日(金)に、衆議院農林水産委員会は「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する件の決議」(以下「本件決議」という。)を賛成多数で採択した。その際、八項目の実現を政府に求めたが、四の漁業補助金に関する事項以外、この決議が守られているようには見えない。その他の事項は、守秘義務を理由に国民への周知をおろそかにし、国権の最高機関たる国会を軽視しているように見える。本件決議をどのように捉えているか、政府の見解を明らかにされたい。

二 政府は第十九回TPP交渉会合(ブルネイ)(以下「ブルネイ交渉会合」という。)で、ISD条項の適用を自ら求めたと報じられているが、それは事実か。事実であれば、その理由を明らかにされたい。これは本件決議を真っ向から否定する行為だと思うが、政府の見解を明らかにされたい。

三 政府はブルネイ交渉会合で、金融機関の外資規制を撤廃するよう求めたと報じられているが、それは事実か。事実であれば、その理由を明らかにされたい。また平成二十七年に日本郵政株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険の三社が株式上場する予定との報道もあるが、これに外資による出資比率の上限を設ける等の規制をかける予定はあるか。

四 政府はブルネイ交渉会合で、公共事業の入札で外国企業を差別しないよう求めたと報じられているが、それは事実か。事実であれば、その理由を明らかにされたい。日本の公共事業は景気対策でもあり、地方の公共事業が入札により外国企業に落札されてしまえば、地方経済はますます没落してしまうと思うが、政府の見解を明らかにされたい。

五 条約法に関するウィーン条約の第三十一条によれば、「1 条約は、文脈によりかつその趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味に従い、誠実に解釈するものとする。2 条約の解釈上、文脈というときは、条約文(前文及び附属書を含む。)のほかに、次のものを含める。 (a)条約の締結に関連してすべての当事国の間でされた条約の関係合意 (b)条約の締結に関連して当事国の一又は二以上が作成した文書であってこれらの当事国以外の当事国が条約の関係文書として認めたもの」とされている。
 ニュージーランドのマーク・シンクレア元首席交渉官によれば「交渉原文、各国政府の提案、添付説明資料、交渉の内容に関するEメール、及び交渉の文脈の中で交換されたその他の情報」はTPP協定発効後、四年間は公開しないそうだが、条約締結に関する国会の承認権(憲法第七十三条第三号但書)を行使する際に、TPP協定の意味を解釈するために必要な「文脈」を与えられない状態で、国会が承認できると考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。それとも国会議員には、この「文脈」が与えられるのか。与えられない場合には、白紙委任的に承認が求められることとなり、国会の権能を規定する憲法第四十一条に違反すると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。