質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三一号

「東京電力福島第一原子力発電所事故における初期内部被ばく線量の再構築」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十月二十五日

山本 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   「東京電力福島第一原子力発電所事故における初期内部被ばく線量の再構築」に関する質問主意書

 平成二十五年一月二十七日に第二回国際シンポジウム「東京電力福島第一原子力発電所事故における初期内部被ばく線量の再構築」が放射線医学総合研究所によって開催された。この国際シンポジウムは、平成二十四年度の原子力災害影響調査等事業(事故初期のヨウ素等短半減期による内部被ばくの線量評価調査)の一環で、環境省(事業公募時は経済産業省資源エネルギー庁)から委託を受けた放射線医学総合研究所がその事業として行ったものである。
 海外の研究者を交えた最後の討論において、海外の研究者から、「平成二十三年三月の東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「原発事故」という。)発生後の三月、四月に自国に緊急帰国した国民のホールボディカウンターによる内部被曝の測定値を保有しているので、人道的見地から、そのデータを日本に提供する。日本は初動が遅れたため、住民の初期内部被曝線量の推定しかできない現在において、推定材料の一つとして使用してはどうか」との申出があった。
 それを受け日本側は、「有り難い申出であり、是非そのデータを見せていただき、住民の初期内部被曝線量の再構築の一助とさせていただきたい」と回答していた。
 住民の内部被曝線量の測定は、原発事故発生の五か月後という遅い時期から始まり、住民の短半減期核種の内部被曝線量に関する情報が無い日本にとって、非常に重要な情報と考える。
 特に、フランスは二百八十人分の測定値を保有しており、それらはほとんどが事故後三週間以内のもので、三十五パーセントの人が汚染されていたという。核種はほぼヨウ素131による汚染であるが、二十人からセシウム134、セシウム137が検出され、十二人からテルル132、ヨウ素132が検出されたという。また、帰国者が飛行機に搭乗するまでの行動記録もある、との発表もあった。国の事業として開催されたシンポジウムにおける海外の研究者からの非常に重要な情報提供についてどう対応しているのか。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 他国の研究者から、事故直後における帰国者の内部被曝線量に係る測定値を日本に提供したいという申出があった事実を、政府は把握していたか。

二 前記一に関して、実際に測定値は日本に提供されたか。測定値が提供されなかったとしたら、その理由はなぜか。

三 原発事故直後に帰国した外国人の内部被曝データは、原発事故における初期内部被曝線量の再構築の為に、有益なデータだと思うが、政府の見解を明らかにされたい。

四 前記三に関して、早急にこのデータの提供を求めるべきだと思うが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。