質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二五号

世界大学ランキングに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十月二十四日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   世界大学ランキングに関する質問主意書

 二〇一三年六月に閣議決定された「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」において、「今後十年間で世界大学ランキングトップ百に我が国の大学が十校以上入ることを目指す。」との目標を掲げたことを高く評価する。
 近年、国際的な大学ランキングの種類は増えてきているが、影響力の大きいランキングとして「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)社」と「クアクアレリ・シモンズ(QS)社」によるものが知られている。二〇一三年の両世界大学ランキングにおける我が国の大学の評価は以下のとおりである。
 THE世界大学ランキングでは、トップ百位内に入る日本の大学は東京大学と京都大学の二校のみとなっている。東京大学は、二年連続で順位を上げ二十三位に入ったものの、世界トップ十大学に比べ評価スコアで十ポイント以上という非常に大きな格差が生じている。また、アジアの大学と比較すると、韓国は百位内に日本を上回る三大学が入っており、香港、シンガポール及び中国も日本と同じく二大学が入っている。
 QS世界大学ランキングでは、我が国は百位内に六大学が入っている。しかしながら、日本の大学で最高位にある東京大学は、二〇〇七年の十七位から毎年順位を下げ続け、現在は三十二位となっている。しかも、シンガポール国立大学や香港大学というアジアの大学にも抜かれている。
 このような現状を踏まえ、以下質問する。

一 日本再興戦略で目標として掲げる世界大学ランキングとは何を指すのか。目標を定めても目標達成の基準を明確にしなければ意味がないため、どのランキングを用いるのかを明確にすべきである。基準としては、より世界で普及しているTHE世界大学ランキングがふさわしいと考えており、また、産業競争力会議等においても同ランキングに基づき議論が行われていると承知している。基準とすべき世界大学ランキング及びその理由について、政府の見解を明らかにされたい。

二 THE世界大学ランキングの評価項目は、①教育(三〇パーセント)内訳(研究者による評価(一五パーセント)、教員当たり博士授与数(六パーセント)、教員当たり学部学生数(四・五パーセント)、学士授与数当たり博士授与数比率(二・二五パーセント)、教員当たり収入(二・二五パーセント))、②論文引用(三〇パーセント)内訳(論文引用度(一論文当たりの平均)(三〇パーセント))、③研究(三〇パーセント)内訳(研究者による評価(一八パーセント)、教員当たり研究収入(六パーセント)、教員・研究員当たり論文数(六パーセント))、④国際(七・五パーセント)内訳(外国人教員比率(二・五パーセント)、外国人学生比率(二・五パーセント)、国際共著論文比率(二・五パーセント))、⑤産学連携(二・五パーセント)内訳(教員当たり産学連携収入(二・五パーセント))、となっている。
 目標達成に当たっては、このような評価項目に沿ったきめ細かい施策を総合的に行うべきであると考える。例えば、研究費の申請・審査も含めて研究活動の英語化を更に進めるなどの工夫のほか、現在評価スコアが低い「国際」や「産学連携」を高めるための取組も必要であると考える。政府として今後十年間で予定している施策・取組について、具体的に示されたい。

三 政府が掲げた大きな目標を達成するためには、大学による自主的な目標設定及び実践を促すべきであり、そのための環境整備として、予算や人事等大学の自由裁量の拡大、目標達成に係る報酬等の明確化等が有効であると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 世界大学ランキングには、英語圏の大学が上位に入りやすい、理系偏重であるなどの指摘もあるが、こうした批判に対してどのようにこたえていくのか。併せて、大学の評価がランキングに偏重するのではなく、教育の質や社会奉仕・地域貢献等数値化しにくい要素についても評価できるよう大学評価の在り方についても検討すべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。