質問主意書

第185回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

東京電力株式会社福島第一原子力発電所の汚染水問題に対する政府の取組に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十月十五日

江口 克彦   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   東京電力株式会社福島第一原子力発電所の汚染水問題に対する政府の取組に関する質問主意書

 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故(以下「原発事故」という。)が発生してから、既に二年半が経過した。施設に流入する地下水によって増え続ける汚染水については、当初から大きな問題とされてきたが、いまだに解決の見通しが立っていない。こうした中、政府は、平成二十五年九月三日に「東京電力(株)福島第一原子力発電所における汚染水問題に関する基本方針(以下「基本方針」という。)」を定め、「今後は、東京電力任せにするのではなく、国が前面に出て、必要な対策を実行していく」とした。また、安倍総理は、同年九月七日の国際オリンピック委員会総会における演説において、原発事故について、「状況は、統御されています」と発言している。国が前面に出るとの姿勢は評価したいが、深刻化する汚染水問題が根本的に解決するかどうかは、基本方針で定めた対策の着実な実施にかかっている。そこで、汚染水対策の今後の見通し等について、次のとおり質問する。

一 基本方針の一つのポイントとされる陸側遮水壁について、事故直後にも設置に向けた検討が行われたものの実現しなかったことに見られるように、これまでの汚染水対策は、東京電力任せで対応が遅かった。いまだに汚染水問題が解決していないことについて、政府はその原因をどのように考えているのか、明らかにされたい。

二 「国が前面に出る」との方針の下、凍土方式の陸側遮水壁の構築及びより高性能な多核種除去設備の実現について、事業費が国から措置されることとなったが、これで万全の対策を採ったと認識しているのか。また、国が前面に出た場合に、東京電力との役割分担を含め、国の取組はこれまでと比べてどのように変わるのか。

三 基本方針においては、汚染水問題に関する三つの対策について、今後講じる対策とその一定のスケジュールが示されているが、これらのスケジュール設定の根拠及び実現可能性について、政府の見解を示されたい。また、「技術的難易度が高く、国が前面にたって取り組む必要があるものについて、財政措置を進めていく」とされているが、国が予算措置する対象についての具体的な基準を示すべきではないか。

四 安倍総理による「状況は、統御されています」との発言は、世界に安心感を与え、我が国での平成三十二年オリンピックの開催決定の決め手となったとも評価されているが、その真意については説明が十分でない印象もある。安倍総理は、汚染水の流出が続いている現実の下で、何を根拠に統御されていると発言したのか、内外に説明を尽くすべきと考えるが、いかがか。

  右質問する。