質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第一四五号

内閣参質一八三第一四五号
  平成二十五年七月二日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員福島みずほ君提出国連「健康に対する権利」に関する勧告書及び日本政府の対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出国連「健康に対する権利」に関する勧告書及び日本政府の対応に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の報告書(以下「報告書」という。)の各パラグラフにおける指摘に対する回答については、パラグラフ七十六については原子力規制庁の関係部署が、パラグラフ七十七については内閣府、文部科学省、厚生労働省及び環境省の関係部署が、パラグラフ七十八については内閣府、文部科学省及び原子力規制庁の関係部署が、パラグラフ七十九については環境省の関係部署が、パラグラフ八十については内閣府、復興庁、文部科学省、経済産業省及び原子力規制庁の関係部署が、パラグラフ八十一については復興庁、文部科学省、経済産業省及び環境省の関係部署が、パラグラフ八十二については経済産業省及び原子力規制庁の関係部署が、それぞれ作成した。

二について

 報告書は法的拘束力を有するものではないが、いずれにせよ、御指摘の勧告については、その内容等を十分に検討の上、政府として適切に対処していくこととしている。

三について

 御指摘の記載については、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会が平成二十四年七月二十三日に取りまとめた最終報告書を基に記載したものである。

四について

 福島県における県民健康管理調査(以下「福島県調査」という。)の中において、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故(以下「事故」という。)の発生時に十八歳以下であった住民に対して甲状腺検査等が実施されており、平成二十五年六月五日に開催された地元の医師や医学等の専門家で構成される福島県「県民健康管理調査」検討委員会(以下「委員会」という。)の資料によれば、当該検査については、平成二十三年十月から開始され、平成二十五年三月三十一日までに、事故の発生時において、零歳から五歳までであった約四万八千人、六歳から十歳までであった約五万千人、十一歳から十五歳までであった約五万三千人及び十六歳から十八歳までであった約二万三千人に対して、実施されている。
 事故に係る住民の健康調査の実施に係る検討を行うに当たっては、医学等の専門家の意見を十分に尊重することが重要であると考えているところ、福島県においては、委員会の意見を踏まえて福島県調査が実施されているが、岩手県、宮城県、茨城県、栃木県及び群馬県においては、各県が主体となって開催された有識者会議等において、特段の健康調査は必要ないとの結論が出ていると承知している。
 また、世界保健機関(WHO)が同年二月二十八日に公表した事故における被ばくによる健康リスクの評価に係る報告書においては、健康リスクの過小評価を防ぐために最大限保守的な仮定をおいて線量が推計されているが、当該仮定を用いたとしても、福島県外においてがんの増加が確認される可能性は小さいとされている。
 さらに、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が同年五月三十一日に行った年次会合の総括においては、同日時点では、事故における被ばくによる健康への影響は生じておらず、住民についてはその後も健康への影響が生じる見込みはない旨の見解が示さている。
 以上を踏まえると、福島県調査が着実に実施されることが重要と考えており、報告書のパラグラフ七十七(f)に対する回答として、「県民健康管理調査により実施済」としたことは適切であると考えている。

五及び六について

 報告書のパラグラフ八十一における指摘に対する回答に関しては、東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律(平成二十四年法律第四十八号)第五条第一項に規定する基本方針について、復興庁において、関係省庁と連携しつつ、原子力災害の被災者等の御意見を伺いながら同条第二項に掲げる支援対象地域に関する事項や被災者生活支援施策に関する基本的な事項について検討を行っているところであるが、その策定時期については、現時点では未定である。今後とも、広く被災者等の御意見を伺うとともに、意見公募手続の実施などを通じて基本方針に係る検討をしていくこととしている。