質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二七号

内閣参質一八三第一二七号
  平成二十五年六月二十五日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員江崎孝君提出地方衛生研究所の地方独立行政法人化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員江崎孝君提出地方衛生研究所の地方独立行政法人化に関する質問に対する答弁書

一について

 地方公共団体は、地方独立行政法人を設立しようとするときは、その議会の議決を経て業務の範囲等を規定する定款を定め、総務大臣又は都道府県知事の認可を受けなければならないとされており、お尋ねの「判断」については、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項その他関係する法令の規定に照らして、まずは、地方独立行政法人を設立しようとする地方公共団体が行い、その上で、認可の申請を受けた総務大臣又は都道府県知事が行うものである。

二について

 地方独立行政法人に行わせようとする事務及び事業が、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないものであるかどうかについては、個別具体の事例に応じて、地方独立行政法人法第二条第一項その他関係する法令の規定に照らして判断すべきものであると考えている。

三及び四について

 国立感染症研究所は、感染症に係る国の重大な危機管理に直結する業務を行っているため、独立行政法人化していないものである。一方、地方衛生研究所は、地域保健対策における科学的かつ技術的な中核となる機関として、調査研究や試験検査などの業務を通じ、公衆衛生の向上に重要な役割を果たしているが、個々の地方衛生研究所の業務が地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないものであるかどうかについては、個別具体の事例に応じて、地方独立行政法人法第二条第一項その他関係する法令の規定に照らして判断すべきものであると考えており、一概にお答えすることは困難である。

五について

 地方衛生研究所の地方独立行政法人化については、まずは、地方独立行政法人を設立しようとする地方公共団体が判断するものであるが、厚生労働省としては、仮に、地方公共団体が地方衛生研究所を地方独立行政法人化するに当たっては、現在、当該地方衛生研究所が担っている機能が十分に維持されるよう配慮すべきものであると考えている。

六について

 御指摘の提言については、平成十九年三月に研究者が取りまとめたものであり、地方衛生研究所の業務の重要性に係る研究成果として認識している。

七及び八について

 厚生労働省としては、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第十五条の規定による感染症の発生の状況、動向及び原因の調査(以下「積極的疫学調査」という。)に係る事務のうち、検体の検査等の業務については、必ずしもその全てを積極的疫学調査に係る事務の実施主体である都道府県等の職員が行わなければならないものではないと考えているが、仮に、都道府県が地方独立行政法人に対して積極的疫学調査に係る事務のうち、検体の検査等の業務を委託するに当たっては、当該地方独立行政法人において、現在、地方衛生研究所が担っている機能が十分に維持されること等が必要と考えており、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の施行に伴う感染症発生動向調査事業の実施について」(平成十一年三月十九日付け健医発第四百五十八号厚生省保健医療局長通知)を見直すこと等により、積極的疫学調査に係る事務の適正な実施を確保し、健康危機管理の観点からも支障が生ずることのないよう取り組んでまいりたい。また、お尋ねの「関与の度合い」の意味するところが必ずしも明らかではないが、都道府県から委託を受けた地方独立行政法人が実施する業務の詳細については、当該委託に係る契約の内容によるものと考えており、一概にお答えすることは困難である。

九について

 食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第二十九条は、都道府県等の必要とする検査又は試験が確実に行われるよう、都道府県等に対して必要な検査施設を設けなければならない旨を規定したものであるが、地方独立行政法人は、地方独立行政法人法の規定により、公共上の見地からその地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業を行う法人として地方公共団体が設立するものであり、その業務については、設立団体の定めた定款や設立団体の認可を受けた業務方法書等に基づいて確実に実施されることを踏まえれば、都道府県等が設立した地方独立行政法人の検査施設は、同条の規定により当該都道府県等が設けなければならないとされた検査施設(以下「食品衛生検査施設」という。)に当たると解される。
 御指摘の「通知」については、「試験研究を業務とする法人」についての照会に対する回答であり、照会の対象となった地方独立行政法人が、食品衛生検査施設としての業務を行うものであるかどうかが必ずしも明らかでなかったため、当該地方独立行政法人の検査施設は、食品衛生検査施設には当たらない旨を回答したものであるが、御指摘の「回答」については、照会の対象となった地方独立行政法人が、食品衛生検査施設としての業務を行うものであることが明らかであったため、当該地方独立行政法人の定款に食品衛生検査施設としての機能・役割を果たす旨を明記することにより、当該地方独立行政法人の検査施設は、食品衛生検査施設に当たると解して差し支えない旨を回答したものである。