質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇三号

内閣参質一八三第一〇三号
  平成二十五年五月二十八日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員加賀谷健君提出向精神薬の子どもへの投与に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加賀谷健君提出向精神薬の子どもへの投与に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、先の答弁書(平成二十一年五月二十二日内閣参質一七一第一六三号)三についてでお答えした「発達障害の原因は未解明であるが、一部の発達障害について、遺伝子及び環境要因との関連を示唆する研究結果があるものと承知している。」との見解及び「コンサータ錠については、承認申請の際に提出された資料において、ADHDの患者の行動に改善が見られたとの報告があったところであるが、ADHDの原因が未解明であるため、現時点で効能又は効果が生ずる機序を説明することは困難である。」との見解に変わりはない。

二について

 お尋ねの報道については、平成二十二年度から平成二十四年度にかけて独立行政法人国立精神・神経医療研究センターが行った「発達障害の診断および治療法開発に関する臨床研究」の分担研究である「自閉性症状の薬物治療を進めるための臨床研究の確立」(以下「分担研究」という。)において、小児の自閉性障害に付随する精神神経症状に対する薬物療法の実態調査等を目的として、発達障害を専門に診療している小児神経専門医及び日本児童青年精神医学会(現在の一般社団法人日本児童青年精神医学会)の認定医を対象に行ったアンケート調査に関するものと承知しており、分担研究の報告書によると、当該アンケート調査に回答のあった医師のうち、自閉性障害児に対して向精神薬等による薬物療法を行っていた者は七十三パーセントであり、そのうち小学校低学年までに薬物療法を開始していた者は七十五パーセントである。

三及び四について

 政府としては、発達障害及び精神疾患を有する小児の患者の治療に当たっては、当該小児の患者の病状、生活環境等を把握した上で、向精神薬についてはその必要性等を適切に判断した上で投与する等、治療方法を適切に選択すべきものと考えている。
 また、二十歳未満の者に対する向精神薬の処方実態については、平成二十五年度厚生労働科学研究費補助金による「向精神薬の処方実態に関する研究」において調査を行うこととしており、その結果を踏まえ、必要な対応について検討してまいりたい。

五について

 医療用医薬品の添付文書については、当該医療用医薬品の適正な使用のために必要な情報を医師、薬剤師等の医薬関係者に対して提供するものとして作成するものであり、その内容については、医薬関係者から患者及びその家族(以下「患者等」という。)に対して説明が行われることが基本であるが、厚生労働省においては、医療用医薬品の製造販売業者に対して、医薬関係者による説明に資するよう、医薬関係者が患者等に対して説明を行う場合に使用する資材(以下「資材」という。)の作成を必要に応じて指導するとともに、特に患者等に対して注意喚起すべき適正な使用のために必要な情報を有する医療用医薬品については、当該医療用医薬品の添付文書の内容を高校生程度の者が理解できる用語を使用して分かりやすく説明した「患者向医薬品ガイド」(以下「ガイド」という。)を作成し、患者等がインターネットを介して直接入手できるようにすることを指導している。
 御指摘の抗うつ剤の添付文書の改訂の要請については、その内容を同省のホームページに掲載することにより、広く国民に対して周知を図ったほか、当該抗うつ剤の製造販売業者に対して、医薬関係者から患者等に対して適切な説明が行われるよう、添付文書の改訂を踏まえた資材の改訂等を指導するとともに、ガイドの改訂についても指導したところである。
 同省としては、こうした取組を通じて、御指摘の抗うつ剤を含め、医療用医薬品の適正な使用のために必要な情報が患者等に対して分かりやすく伝えられるよう、努めてまいりたい。