質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇二号

内閣参質一八三第一〇二号
  平成二十五年五月二十四日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員加賀谷健君提出風営法のダンス営業規制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加賀谷健君提出風営法のダンス営業規制に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号。以下「風営法」という。)は、客にダンスをさせる営業を規制の対象としている。これは、客にダンスをさせる営業は、適正に営まれれば国民に健全な娯楽を提供するものとなり得るものである一方、営業の行われ方いかんによっては、善良の風俗と清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあるためであり、具体的には、暴力団員等の悪質な営業者によるいかがわしい営業行為により風俗上の問題が生じ得ること、騒音等により営業所の周辺地域の生活環境が悪化し得ること、十八歳未満の者を客として営業所に立ち入らせること等により少年の健全な育成に係る問題が生じ得ること等が懸念されるためである。このような営業に関する規制が行われるダンスとは何かについて及び当該規制が御指摘の「タンゴ」、「ソウルダンス」及び「日本舞踊」を含む様々なダンスのうちどのようなダンスについて行われるかについても、この趣旨に即して判断されることとなる。

四について

 御指摘の「認定講師制度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、風営法第二条第一項第四号に規定する「政令で定めるダンスの教授に関する講習を受けその課程を修了した者その他ダンスを正規に教授する能力を有する者として政令で定める者」が「客にダンスを教授する場合にのみ客にダンスをさせる営業」については、ダンスを教授する者と客とが、専らダンスに関する技能及び知識の教授又は修得という目的でダンスを行うものであり、善良の風俗を害する等のおそれはないと認められるため、風営法の規制の対象から除外されているものである。

五について

 御指摘の講習については、現在、公益社団法人全日本ダンス協会連合会(以下「連合会」という。)が行うダンス教師認定講習及び財団法人日本ボールルームダンス連盟(以下「連盟」という。)が行うプロ・ダンス・インストラクター認定講習の二つがあるところ、これらの講習においては、いずれも、ダンスの技能及び知識について六十時間の個別の指導を受けた者に対し、更に八時間、集合して講習が行われている。風営法に関する講習は、集合して行われる講習において、他の法令等に関する講習と合わせて二時間、連合会又は連盟が選任した適切な講師により行われていると承知している。

六について

 風営法における客にダンスをさせる営業に対する規制については、これまでも、当該営業の実態の変化等を踏まえつつ、必要な見直しを行ってきており、昨年も風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(昭和五十九年政令第三百十九号)を改正し、ダンスの教授に関する講習の実施主体の見直し等を行ったところである。今後とも、様々な社会的事象や関係各方面の意見を踏まえつつ、適切な規制の在り方について検討してまいりたい。