質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第九九号

内閣参質一八三第九九号
  平成二十五年五月二十四日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員加賀谷健君提出裁判員制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加賀谷健君提出裁判員制度に関する質問に対する答弁書

一について

 法務省においては、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号。以下「裁判員法」という。)附則第九条を踏まえ、平成二十一年九月に有識者から成る「裁判員制度に関する検討会」を設け、その意見を聴取しつつ、裁判員の参加する刑事裁判(以下「裁判員裁判」という。)の運用の実情について調査及び検討を行っているところである。
 なお、最高裁判所においても、裁判員制度の運用に関して議論がされていると承知しているが、その議論の状況については、政府としてお答えする立場にない。

二及び三について

 裁判員裁判においては、裁判員候補者は高い割合で裁判所に出頭し、選任された裁判員等は熱心に審理に取り組んでいるものと承知しており、また、裁判員等の経験者の多くは、裁判員等として裁判に参加したことにつき良い経験をしたと感じ、充実感をもって審理に取り組んでいることがうかがわれることなどから、裁判員制度は、順調に運営され、国民に支持されているものと認識しており、「裁判員制度は日本の国民性には合わない」とは認識していない。

四について

 裁判員制度は、国民の感覚を裁判の内容に反映させ、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資するものとして創設された国民に司法権の行使に参加する権限を付与する制度であるところ、裁判員に過度の負担を負わせることのないよう、その職務従事予定期間において裁判員法第十六条各号の事由があると認められる裁判員候補者については、その申立てにより、辞退が認められる制度となっていることなどから、裁判員としての職務に従事することなどは、憲法第十八条後段が禁ずる「苦役」には当たらないものと考えている。
 なお、最高裁判所は、平成二十三年十一月十六日の大法廷判決において「裁判員の職務等は、憲法十八条後段が禁ずる「苦役」に当たらないことは明らかであ」ると判示しているところである。