質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第九八号

内閣参質一八三第九八号
  平成二十五年五月二十四日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員有田芳生君提出よど号グループに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員有田芳生君提出よど号グループに関する質問に対する答弁書

一について

 昭和四十五年三月に発生したいわゆる「よど号」ハイジャック事件(以下「本件事件」という。)の実行犯、その妻等(以下「本件グループ」という。)が、我が国の政府に対し書簡を発出した旨を本件グループの支援団体のホームページ等で明らかにしていることについては承知しているが、当該書簡を受理したか否かを含めてその事実関係について明らかにすることは、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。

二について

 政府としては、これまで北朝鮮側に対し、北朝鮮との協議の場等において、本件グループのうち警察において国際刑事警察機構を通じて各国警察機関に対して所在の発見や情報提供を求めた者の引渡しを繰り返し求めてきているところであるが、お尋ねの回数及び日時を明らかにすることは、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、差し控えたい。

三及び四について

 政府としては、本件グループの供述から拉致問題に関する情報を得られる可能性があると考えているが、本件グループのうち警察において国際刑事警察機構を通じて各国警察機関に対して所在の発見や情報提供を求めた者の引渡しにより拉致問題が直ちに解決するとは考えていない。

五について

 お尋ねの「逮捕状の件名と件数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、警察においては、本件グループのうち、小西隆裕については本件事件及び昭和四十四年九月に発生したいわゆる警視庁本富士警察署襲撃事件に関し、若林盛亮、赤木志郎及び岡本武については本件事件に関し、魚本公博については本件事件及び昭和五十八年七月頃に発生した欧州における有本恵子さん拉致容疑事案に関し、森順子については昭和五十五年五月頃に発生した欧州における松木薰さん及び石岡亨さん拉致容疑事案及び昭和六十三年九月頃に発生した旅券法違反事件に関し、若林佐喜子については昭和五十五年五月頃に発生した欧州における松木薰さん及び石岡亨さん拉致容疑事案及び昭和五十九年六月頃から昭和六十三年五月頃までの間に発生した旅券法違反事件に関し、それぞれ逮捕状の発付を受け、国際刑事警察機構を通じて各国警察機関に対して所在の発見や情報提供を求めているところである。

六について

 警察においては、欧州における有本恵子さん拉致容疑事案の被疑者である魚本公博並びに欧州における松木薰さん及び石岡亨さん拉致容疑事案の被疑者である森順子及び若林佐喜子について、我が国の法令に従い、厳正な捜査を行うこととしており、御指摘の要求を受け入れる考えはない。

七について

 福留貴美子氏に係る事案については、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案として、関係機関が連携を図りながら、捜査・調査を推進しているが、これまでのところ、北朝鮮による拉致行為があったことを確認するには至っていない。

八について

 お尋ねの「テロ支援団体」の意味するところが必ずしも明らかではないが、本件事件の実行犯については、革命を起こすという目的を達成するために、北朝鮮等に「国際根拠地」を作り、当該「国際根拠地」に送り込んだ活動家に軍事訓練を受けさせた上で、我が国において当該活動家と共に武装蜂起を実行するという構想に基づきハイジャック事件を実行したテロリストであると認識している。