質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第九四号

内閣参質一八三第九四号
  平成二十五年五月十七日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員川田龍平君提出石綿が原因で肺がんになった方の認定基準に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出石綿が原因で肺がんになった方の認定基準に関する再質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「国際的コンセンサス」の意味するところが必ずしも明らかでないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
 なお、「Asbestos,asbestosis,and cancer:the Helsinki criteria for diagnosis and attribution.Scand J Work Environ Health.1997;23:311-6」においては、西欧等では、石綿の使用が千九百七十年代にピークに達し、約八億人の人口につき、毎年、約一万件の中皮腫と約二万件の石綿で誘発された肺がんが発生すると見積もられている旨が示されていると承知している。

二について

 お尋ねの「平成二十四年二月九日付け厚生労働省発基労〇二〇九第一号で開示した文書」(以下「開示文書」という。)は、存在していると認識している。
 なお、先の質問主意書(平成二十五年四月二十二日提出質問第八一号)三の中の「平成十八年度からの旧認定基準適用時」は、平成十八年四月一日から平成二十四年三月二十八日までの間を指すものであるが、開示文書は、石綿にばく露したことにより肺がんを発症したとしてなされた保険給付(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)による保険給付をいう。以下同じ。)の請求に対して、平成十八年二月九日から平成二十二年十一月三十日までの間において支給又は不支給の決定を行った件数を集計したものである。

三について

 御指摘の「資料七「石綿肺がんの労災決定事案の概要」」は、石綿にばく露したことにより肺がんを発症したとしてなされた保険給付の請求に対して、平成十八年二月九日から平成二十二年十一月三十日までの間において支給又は不支給の決定を行った件数を集計したものである。お尋ねの石綿に十年以上ばく露したことにより肺がんを発症したとしてなされた保険給付の請求に対して、平成十八年二月九日から平成二十二年十一月三十日までの間において不支給の決定を行った件数は三百四十七件であり、そのうち乾燥肺重量一グラム当たりの石綿小体の本数の計測結果が存在する件数は四十三件であり、そのうち当該計測結果が一本以上千本未満の件数を「石綿による疾病の認定基準について」(平成十八年二月九日付け基発第〇二〇九〇〇一号厚生労働省労働基準局長通達)第1の2の(1)から(11)までに掲げる十一の作業(以下「十一作業」という。)別にお示しすると、「(1) 石綿鉱山又はその附属施設において行う石綿を含有する鉱石又は岩石の採掘、搬出又は粉砕その他石綿の精製に関連する作業」(以下「第一号作業」という。)が零件、「(2) 倉庫内等における石綿原料等の袋詰め又は運搬作業」(以下「第二号作業」という。)が零件、「(3) 次のアからオまでに掲げる石綿製品の製造工程における作業(中略)石綿を含有する製品」(以下「第三号作業」という。)が一件、「(4) 石綿の吹付け作業」(以下「第四号作業」という。)が零件、「(5) 耐熱性の石綿製品を用いて行う断熱若しくは保温のための被覆又はその補修作業」(以下「第五号作業」という。)が一件、「(6) 石綿製品の切断等の加工作業」(以下「第六号作業」という。)が五件、「(7) 石綿製品が被覆材又は建材として用いられている建物、その附属施設等の補修又は解体作業」(以下「第七号作業」という。)が二件、「(8) 石綿製品が用いられている船舶又は車両の補修又は解体作業」(以下「第八号作業」という。)が二件、「(9) 石綿を不純物として含有する鉱物(タルク(滑石)等)等の取扱い作業」(以下「第九号作業」という。)が零件、「(10) 上記(1)から(9)までに掲げるもののほか、これらの作業と同程度以上に石綿粉じんのばく露を受ける作業」(以下「第十号作業」という。)が十六件、「(11) 上記(1)から(10)の作業の周辺等において、間接的なばく露を受ける作業」(以下「第十一号作業」という。)が七件、作業不明が一件であり、当該計測結果が千本以上二千本未満の件数を十一作業別にお示しすると、第一号作業が零件、第二号作業が零件、第三号作業が零件、第四号作業が零件、第五号作業が二件、第六号作業が零件、第七号作業が一件、第八号作業が零件、第九号作業が零件、第十号作業が零件、第十一号作業が四件であり、当該計測結果が二千本以上三千本未満の件数を十一作業別にお示しすると、第一号作業が零件、第二号作業が零件、第三号作業が零件、第四号作業が零件、第五号作業が零件、第六号作業が零件、第七号作業が零件、第八号作業が零件、第九号作業が零件、第十号作業が一件、第十一号作業が零件であり、当該計測結果が三千本以上四千本未満の件数を十一作業別にお示しすると、第一号作業が零件、第二号作業が零件、第三号作業が零件、第四号作業が零件、第五号作業が零件、第六号作業が零件、第七号作業が零件、第八号作業が零件、第九号作業が零件、第十号作業が零件、第十一号作業が零件であり、当該計測結果が四千本以上五千本未満の件数を十一作業別にお示しすると、第一号作業が零件、第二号作業が零件、第三号作業が零件、第四号作業が零件、第五号作業が零件、第六号作業が零件、第七号作業が零件、第八号作業が零件、第九号作業が零件、第十号作業が零件、第十一号作業が零件であり、当該計測結果が五千本以上の件数を十一作業別にお示しすると、第一号作業が零件、第二号作業が零件、第三号作業が零件、第四号作業が零件、第五号作業が零件、第六号作業が零件、第七号作業が零件、第八号作業が零件、第九号作業が零件、第十号作業が零件、第十一号作業が零件である。

四について

 平成二十五年五月十三日現在において厚生労働省として把握している限りでは、石綿にばく露したことにより肺がんを発症したとして平成十八年四月一日から平成二十四年三月二十八日までの間においてなされた保険給付及び特別遺族給付金(石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号)による特別遺族給付金をいう。)の請求に対して、その不支給の決定の取消しを求めて提起された行政訴訟の件数は九件であり、そのうち終結した件数は三件、係争中の件数は六件である。