質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第九二号

内閣参質一八三第九二号
  平成二十五年五月十七日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員藤末健三君提出インターネットによる選挙運動解禁を受けた対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出インターネットによる選挙運動解禁を受けた対応に関する質問に対する答弁書

一の1の(1)について

 お尋ねについては、一義的にはプロバイダ等の自主的な判断に委ねられるべきものであるが、第百八十三回国会において成立した公職選挙法の一部を改正する法律(平成二十五年法律第十号。以下「改正法」という。)により改正された特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号。以下「プロバイダ責任制限法」という。)の円滑な運用に資するよう、総務省においても、平成二十五年四月二十六日付けの文書により、一般社団法人電気通信事業者協会、一般社団法人テレコムサービス協会、一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会及び一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟(以下「通信関連四団体」という。)のそれぞれに対し、選挙運動の期間中に公職の候補者等により名誉侵害情報の送信防止措置を講ずるよう申出が行われる場合の通信関連四団体の加盟各社における受付窓口の設置の推奨を始め、プロバイダ責任制限法の一部改正の趣旨を踏まえた適切な対応を講ずるよう要請を行ったところである。

一の1の(2)について

 通信関連四団体が策定した「プロバイダ責任制限法名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」においては、従来より、侵害情報の送信防止措置を講ずるよう申出を行うに当たっては、電子メールによる方法も認められることとなっていると承知している。

一の2について

 政府としては、御指摘の「新たな罰則規定」も含め、改正法の内容を総務省ホームページに掲載するなど改正法の内容の周知を図るとともに、都道府県及び市区町村の選挙管理委員会に対して改正法の内容の周知を依頼しているほか、本年の参議院議員通常選挙に向けて、参議院比例代表選出議員の選挙において参議院名簿を届け出る予定の政党その他の政治団体等を対象とした説明会等を開催する予定である。

一の3について

 政府としては、海外からインターネットを利用した選挙の公正を害する犯罪が行われた場合には、警察において外国捜査機関と緊密に連携して対処することとしているほか、関係機関において必要に応じ適切に対応してまいりたいと考えている。

二の1について

 政府としては、本年四月二十六日に、各都道府県に対して「公職選挙法の一部を改正する法律の施行について(通知)」(平成二十五年四月二十六日付け総行選第二十七号)を発出するとともに、各都道府県及び政令指定都市の選挙管理委員会の職員を対象に改正法の内容についての説明会を開催したところであり、今後も通知の発出や説明会の開催等を通じて、都道府県及び市区町村の選挙管理委員会に改正法の内容の周知を図ってまいりたいと考えている。

二の2について

 お尋ねについては、改正法の国会審議において、その提案者から「公的な監視委員会みたいなものを設けるかどうかという議論はあり得べきことだと思いますし、例えば韓国なんかにそうした類似した例があるわけでございますが、日本の場合において、それは憲法上保障された表現の自由ですとか政治活動の自由というものもございますので、そうしたものについて、私どもとしては慎重に検討すべきだと考えております。」との答弁がなされているものと承知している。

三の1について

 インターネット等を選挙運動で使用することについては、一般に、金のかからない選挙の実現に資すると考えているが、選挙運動は、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)に定められた範囲内でそれぞれの公職の候補者等の自由な意思に基づき行われるものであることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

三の2について

 お尋ねについては、政党その他の政治団体の政治活動の在り方に関わることであることから、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えている。

三の3について

 お尋ねの「選挙運動への流用」の意味するところが必ずしも明らかでないが、選挙運動期間前に作成した政治活動のための候補者のホームページをそのまま放置して選挙運動期間を迎えたケースを例にとると、当該ホームページの内容や活用の態様によっては、当該ホームページの公開が事前運動と認められ、当該公開を行った者が一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処せられる場合があり、当該ホームページの作成に要した経費の支出が当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって選挙運動に対する報酬として行われたものと認められるなど改正法による改正後の公職選挙法(以下「新公職選挙法」という。)第二百二十一条の規定に抵触し、当該支出を行った者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処せられる場合があり、また、当該支出が選挙運動を行うために支出されたものと認められ、新公職選挙法第百八十九条の規定に基づき選挙運動に関する支出の報告の対象となる場合があると考えている。いずれにせよ、個々の行為が新公職選挙法上どのように評価されるかについては、具体の事実に即して個別に判断されるべきものである。

四の1の(1)について

 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第二条第一号の通信方式を定める省令(平成二十一年総務省令第八十五号)を改正する場合には、改正の内容について十分な周知を図っていくことが必要と考えている。

四の1の(2)について

 お尋ねの「特定のSNSのメッセージ機能」が、特定の者に対し通信文その他の情報をその使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に表示されるようにすることにより伝達するための電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。)であって、その全部又は一部においてシンプルメールトランスファープロトコルが用いられる通信方式を用いるものである場合には、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)第二条第一号に規定する電子メールに該当することとなるが、「インターネット選挙運動等に関する各党協議会」が平成二十五年四月二十六日に策定した「改正公職選挙法(インターネット選挙運動解禁)ガイドライン(第一版)」においては、「フェイスブックやLINEなどのユーザー間でやりとりするメッセージ機能は、「電子メール」ではなく、「ウェブサイト等」に含まれる。ただし、一般の電子メール(Eメール等)を用いてフェイスブックアドレスにメッセージを送信する等の場合には、その一部にSMTP方式を使用することとなるため、このような態様によるメッセージの送信は「電子メール」の送信に当たることとなる。」とされていると承知している。

四の2について

 御指摘の「検索結果の表示順が不正に操作される」や「選挙の公正が阻害される」の意味するところが必ずしも明らかでないが、「インターネット検索サイト」は民間企業の事業活動として運営されているものであり、政府として、何らかの新たな措置を講ずることは現時点において考えていない。