質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第七二号

内閣参質一八三第七二号
  平成二十五年四月十二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員福島みずほ君提出食用油の表示に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出食用油の表示に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、食用植物油脂品質表示基準(平成十二年農林水産省告示第千六百七十二号)第三条の規定により、食用植物油脂の名称及び原材料名の表示については、原材料が輸入されたものであるか否かにかかわらず、あぶらな又はからしなの種子から採取した油であって、食用に適するように処理したものは「食用なたね油」、大豆から採取した油であって、食用に適するように処理したものは「食用大豆油」、とうもろこしのはい芽から採取した油であって、食用に適するように処理したものは「食用とうもろこし油」等と記載することとしていることから、消費者は、名称及び原材料名の表示により原材料の実態を知ることができると考える。

一の2から4まで及び二の2について

 加工食品品質表示基準(平成十二年農林水産省告示第五百十三号)第三条第五項の規定による原料原産地名の表示義務の対象とする加工食品を同基準別表二において定めるに当たっては、当該基準が加工食品の品質に関する表示について定めるものであることから、原産地に由来する原材料の品質の差異が、加工食品としての品質に大きく反映されると一般的に認識されているものであることを選定要件の一つとしてしん酌している。このため、御指摘のように食用植物油脂の原材料が輸入されたものである旨の表示を義務付けたり、御指摘の食用植物油脂を原料原産地名の表示義務の対象とするか否かにおいては、食用植物油脂が当該選定要件を満たすかどうか等について慎重に検討する必要があると考えている。

二の1について

 食用植物油脂品質表示基準第三条第二号の規定により、食用調合油の原材料名の表示については、当該基準が消費者の選択に資するために食用植物油脂の品質に関する表示について定めるものであり、使用した原材料を、原材料に占める重量の割合の多いものから順に記載することとしていることから、原材料の実態が相当程度表示されているものと考える。このため、御指摘のように原材料の混合割合の表示を更に義務付けることについては、慎重に検討する必要があると考えている。

二の3について

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の食用植物油脂については、食用植物油脂品質表示基準第四条第三号の規定により、原料油脂の含有率が百パーセントである場合に限ってその油脂名を表示する用語を商品名に表示することができることとしている。また、同基準第三条の規定により、二以上の食用植物油脂を調合した食用調合油の名称の表示については、「食用調合油」と記載することとしており、御指摘のようなごま油について「食用ごま油」と記載することはできない。いずれにしても、含有率が百パーセントである場合とは異なる表示がされるため、消費者に誤認を与えるものではないと考える。

二の4について

 加工食品品質表示基準第五条の規定により、使用した原材料が特定の原産地のものであるなど、使用した原材料が特色のあるものである旨を表示する場合は、特色のある原材料の製品の原材料に占める重量の割合等を当該表示に近接した箇所又は原材料名の次に括弧を付して記載することとしており、御指摘のような限定をしなければ消費者に誤認を与えることとなるとは考えていない。

三について

 組換えDNA技術応用作物である食品である旨等の表示義務の対象については、適正な監視指導を実施する観点から、組換えDNA技術応用作物を含むことを科学的に検証できる食品であることが適当と考えている。このため、お尋ねの油脂のように、組み換えられたDNA及びそれにより生成されたたんぱく質が製造又は加工の過程において除去又は分解され、これらを含むことを科学的に検証することができないものについては、現行制度においては当該表示義務の対象としていないが、組換えDNA技術応用作物である食品の表示の制度の在り方については、今後、検証技術の向上等を踏まえ、関係者の意見を聴きつつ、必要に応じ検討してまいりたい。

四について

 食品衛生法第十九条第一項の規定に基づく表示の基準に関する内閣府令(平成二十三年内閣府令第四十五号)第一条第二項第三号の規定により、一定の食品又は添加物について、製造所の所在地及び製造者の氏名等の記載を義務付けるとともに、同令第十条の規定により、製造所固有の記号等の記載をもって製造所の所在地及び製造者の氏名の表示に代えることができることとしているのは、食中毒等の飲食に起因する衛生上の危害が生じた場合に、都道府県知事等が、その原因となっている食品等の製造所の所在地及び製造者の氏名を把握し、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)に基づき当該食品等の廃棄、当該食品等に係る営業の停止等の処分を迅速かつ的確に行うことにより、当該危害の拡大防止を図るためのものであるから、お尋ねのように商品の容器包装等に「製造所所在地及び製造者氏名」を必ず表示することとし、製造所固有の記号等をもってこれに代替する措置を認めないこととすることについては、慎重に検討する必要があると考えている。
 なお、製造所固有の記号を使用している製造者又は販売者に対しては、消費者等から製造所の所在地又は製造者の氏名についての問合せがあった場合に速やかに回答できる体制を整えるよう促すとともに、問合せが多い場合には、インターネット等の媒体を通じて、あらかじめ情報提供することを呼びかけている。