質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第五〇号

内閣参質一八三第五〇号
  平成二十五年三月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員林久美子君提出幼児教育無償化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員林久美子君提出幼児教育無償化に関する質問に対する答弁書

一及び五について

 幼児期は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期であり、この時期に質の高い幼児教育を保障することは極めて重要であると考えている。御指摘の幼児教育の「無償化」は、これに資するものであり、「子ども・子育て支援法」(平成二十四年法律第六十五号)、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律」(平成二十四年法律第六十六号)、「子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成二十四年法律第六十七号)の三法に基づく「子ども・子育て支援新制度」との関係や財源確保の観点等を踏まえ、検討を行ってまいりたい。

二について

 平成二十四年四月一日時点の待機児童の数は二万四千八百二十五人であり、平成二十二年から二年連続で減少しているが、依然として多くの待機児童が存在している状況である。
 政府としては、子どもに質の高い保育を保障し、男女が共に仕事と子育てを両立させて活躍できるように、子ども及び子育てを支援していく観点から、待機児童の解消は喫緊の課題であると認識している。そこで、保育の需要に対応した保育の量的拡大を進めることとし、保育所の整備、保育士の確保及び保育所の運営費の拡充などを推進することにより、待機児童の解消に取り組んでいるところである。
 さらに、「子ども・子育て支援新制度」においては、「子ども・子育て支援法」等の関係法令に基づき、市町村が潜在的な需要を含む地域の保育の需要を把握した上で、計画的に地域の保育の需要を充足するための保育の提供体制を確保するため、「市町村子ども・子育て支援事業計画」を定めるなどの仕組みが設けられたところである。
 今後、現在取り組んでいる待機児童の解消のための施策に加え、「子ども・子育て支援新制度」を施行することにより、速やかに待機児童の解消を進めることとしている。

三について

 一及び五についてで述べたとおり、幼児期に質の高い幼児教育を保障することは極めて重要であり、これに資する幼児教育の「無償化」は、平成二十四年十二月二十五日の「自由民主党・公明党連立政権合意」等にも盛り込まれた重要な課題であると考えている。また、二についてで述べたとおり、待機児童の数が依然として二万四千人を超えるなど深刻な状況の下で、子どもに質の高い保育を保障し、男女が共に仕事と子育てを両立させて活躍できるように、子ども及び子育てを支援していく観点から、待機児童の解消は、早急な取組が求められる重要な課題であると考えている。いずれの課題も大変重要であり、政府として必要な取組を進めていく所存である。

四について

 御指摘の「費用の試算」については、平成二十一年五月に文部科学省の「今後の幼児教育の振興方策に関する研究会」が取りまとめた中間報告によると、幼稚園又は保育所に通うおおむね三歳以上の子どもに係る入園料及び保育料の額の全国の平均額について「無償化」した場合に既存の公費に追加して必要となる公費の額は、約七千九百億円とされている。

六について

 幼児教育の「無償化」については、財源確保の観点等を踏まえ、検討を行ってまいりたいが、消費税率引上げによる増収分との関係については、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」(平成二十四年法律第六十八号)による改正後の消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第一条第二項において「消費税の収入については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。」とされていることや、消費税率引上げを含む社会保障・税一体改革が社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から取り組むものであることのほか、消費税率引上げによる増収分を充てることとしている「子ども・子育て支援新制度」との関係等を踏まえ、検討することとなると考えている。

七について

 文部科学省の平成二十五年度予算において、お尋ねの「幼稚園に同時就園する第三子以降の全ての園児」として地方公共団体に対する幼稚園就園奨励費補助の対象として経費を計上した園児数は約千五百人であり、その所要額は約一億三千六百万円である。なお、このうち、同年度から実施する所得制限の撤廃により、同省の同年度予算において、新たに補助の対象として経費を計上することとなった園児数は約八百人であり、その所要額は約六千三百万円である。