質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第三九号

内閣参質一八三第三九号
  平成二十五年三月一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員福島みずほ君提出平成二十五年度の原子力発電関連予算に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出平成二十五年度の原子力発電関連予算に関する質問に対する答弁書

一の1について

 原子力発電所の安全対策に資する研究開発及び調査(以下「研究開発等」という。)のうち、当該研究開発等の成果が原子力に関連する事業者及び研究機関(以下「事業者等」という。)で広く共有されることが望ましいもの及び原子力発電所の安全に係る技術水準の更なる向上に向けた事業者等の取組を促進するもの等については、国が実施することが適切であると考えられる。

一の2について

 お尋ねの「緊急時対応に資する資機材等の集中管理」とは、原子力緊急事態の発生時において、遠隔操作ロボット等の資機材を有効に活用するため、当該資機材を一元的に管理することを指している。

一の3について

 御指摘の発電用原子炉等安全対策高度化事業については、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故から得られた教訓を踏まえ、原子力発電所の安全に係る技術の更なる向上に向けて実施することとしたものである。炉心損傷等のシビアアクシデントへの対策については、現行の安全基準の対象となっていないため、既設の計器等がシビアアクシデントが発生した場合に耐えられるかどうかという確認はこれまで行っていない。

二の1及び2について

 お尋ねについては、平成二十二年二月以降では、平成二十三年十月に、ベトナム政府から我が国政府に対して、ベトナムのニントゥアン省第二サイトの原子力発電所の建設計画における炉型評価やサイト評価等(以下「炉型評価等」という。)を含むフィージビリティ・スタディについて、支援の要請が行われており、当該計画について、現在、我が国企業による炉型評価等が行われていると承知している。

二の3について

 安倍内閣としては、野田前内閣における「革新的エネルギー・環境戦略」(平成二十四年九月十四日エネルギー・環境会議決定)をゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築することとしており、原子力発電所の新設についても、こうした中で検討してまいりたい。
 一方、原子力海外建設人材育成委託費(以下「本委託事業」という。)により、最新の科学的知見に基づき、海外の原子力発電所の建設の初期段階に係る地震動評価を含む炉型評価等を実施することを通じて、原子力発電所の安全性の検証など我が国の原子力発電に係る技術・人材の蓄積が維持・強化されることから、我が国国内の原子力発電所の安全性の向上にも寄与するものと考えられる。

二の4について

 本委託事業は、外国政府から、原子力発電所の建設を検討するに際して、建設に直接的に関与する可能性のある事業者ではなく我が国政府が協力を要請された場合に、我が国政府として責任を持って、当該要請の内容を詳細に検討し、当該要請に応え得る技術と実績を有する者に委託し、炉型評価等を実施することにより、我が国として国際的な原子力安全への貢献を行うものであると同時に、我が国の原子力発電に係る技術・人材の蓄積の維持・強化を図るものである。