質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参質一八三第九号
  平成二十五年二月八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員松田公太君提出行政による法令適用事前確認手続に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員松田公太君提出行政による法令適用事前確認手続に関する質問に対する答弁書

一から四までについて

 行政機関による法令適用事前確認手続(以下「事前確認手続」という。)については、「行政機関による法令適用事前手続の導入について」(平成十三年三月二十七日閣議決定。以下「指針」という。)に基づき、民間企業等が自己の事業活動に係る具体的行為に関して、当該行為が特定の法令の規定の適用対象となるか否かを、あらかじめ当該規定を所管する行政機関に書面により確認し、当該機関が原則として三十日以内の回答期間において書面で回答を行うとともに、当該回答を公表する手続である。
 指針の対象法令の分野については、民間企業等の事業活動に係る法令が対象とされるが、これに限定されるものではなく、各府省(外局を含む。)の判断により、その他の分野に係る法令を対象とすることが可能である。しかし、事前確認手続が、自らの行為が法令に抵触するか否かについての予見可能性を高めるため、民間企業等が事前に行政機関に照会する手続であることを踏まえれば、法令の規定に違反する行為が刑事罰のみの対象となるものなど、行政機関が主体となって処分、注意喚起、監督等を行うことが予定されておらず、違法状態の是正が直接司法の判断によることが予定されている場合には、当該法令の規定を事前確認手続の対象とすることは適切ではないと考えているところである。
 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の解釈のうち、一般的、典型的な事例については、実例、判例等を公表して明確化を図っているところであるが、「選挙運動に係る公職選挙法上の規制条項」を含め同法の規定に違反した行為の多くは、刑事罰の対象となり、違法状態の是正が直接司法の判断によることが予定されているものである。また、同法に規定されている選挙に関する手続は短期間に多くの行為が連続して行われるものであるところ、事前確認手続の制度によった場合、同法の規定に関する照会に対する回答が照会者にとって時機を逸したものとなることが予想され、他方、事前確認手続の制度に基づき、極めて短期間に回答を行うことは物理的に困難であり、選挙の適正な管理執行に支障を来すことが懸念されるところである。現在、同法が事前確認手続の対象とされていないのは、以上の点を総合的に勘案したことによるものであり、御指摘の「ノーアクションレター制度の対象法令を「事業活動に係るもの」と規定していることに因る」ものではなく、事前確認手続の対象とすることは適切ではないものと考えている。