質問主意書

第183回国会(常会)

答弁書


答弁書第六号

内閣参質一八三第六号
  平成二十五年二月五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員中西健治君提出法人税に係る欠損金の繰越控除制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中西健治君提出法人税に係る欠損金の繰越控除制度に関する質問に対する答弁書

一について

 欠損金の繰越控除制度は、企業活動が期間を定めずに継続的に行われるものであるのに対し、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)は事業年度を定めて所得を計算することとしていることを踏まえ、法人税負担の合理化を図るために設けられているものである。

二について

 御指摘の欠損金の繰越控除制度の見直しに係る経過措置は、会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)等に基づく企業再生においては、その手続開始時の制度を前提として将来のキャッシュフローを見込み、更生計画等が策定されることに鑑み、利害関係者の期待を保護するとともに、企業再生を円滑ならしめるために講じられたものである。

三及び四について

 御指摘の経過措置については、公的資金を受けて事業再生を行う場合においても、二についてに示した事情は同じであることから、公的資金の投入の有無により、その取扱いの差異は設けられていない。

五について

 御指摘の「平成二十五年度税制改正大綱」の該当部分については、与党において今後「引き続き検討」とされていることから、政府としては与党の検討状況を注視してまいりたい。

六について

 二についてに示したとおり、会社更生法等に基づく企業再生においては、その手続開始時の制度を前提として将来のキャッシュフローを見込み、更生計画等が策定されることから、一般的に、事後的に税制上の取扱いを変更することについては、企業再生の安定性等に配慮しつつ検討すべきものと考えられる。

七及び八について

 交通政策審議会航空分科会公的支援に関する競争政策検討小委員会は、日本航空株式会社の再生の過程において講じられた支援措置等について検証を行うとともに、当該検証を通じて得られた競争環境に関する課題について検討を行うものである。

九について

 欠損金の繰越控除制度は、各事業年度において生じた青色欠損金について、その後の所得の金額の生じた事業年度において一定の計算に基づき損金の額に算入する制度であり、税制上公的資金注入を理由に欠損金の繰越控除制度の適用を受けなかったような事例は把握していない。

十について

 金融庁においては、民間銀行について、「公的支援に関する競争政策検討小委員会」と同じ目的の会議は開催していない。一方で、公的資本増強に当たっては、資本増強に係る各制度の目的を踏まえつつ、法令等に基づき審査を行うとともに、資本増強を行った民間銀行から、経営健全化計画等の履行状況について、定期的な報告を受ける等、適切な制度運営に努めている。