質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第一三三号

国家公務員給与の臨時特例措置の地方への波及に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年六月二十四日

尾辻 かな子   


       参議院議長 平田 健二 殿



   国家公務員給与の臨時特例措置の地方への波及に関する質問主意書

 政府は平成二十五年一月二十四日、「平成二十五年度予算編成の基本方針」及び「公務員の給与改定に関する取扱いについて」を閣議決定した。地方公務員給与について、「平成二十五年度予算編成の基本方針」では、「平成二十四年度から実施されている国家公務員給与の平均マイナス七・八パーセントの削減措置に準じて必要な措置を講ずるよう地方公共団体に要請するとともに、それを反映して、平成二十五年度予算における地方交付税や義務教育費国庫負担金等を算定する。また、地域経済の活性化の観点や各地方公共団体の行政改革の取組を踏まえるものとする。」とした。
 また、「公務員の給与改定に関する取扱いについて」では、「各地方公共団体において速やかに国に準じて必要な措置を講ずるよう要請する。」とし、一月二十八日には、新藤義孝総務大臣名で各都道府県の知事・議長等宛に「地方公務員の給与改定に関する取扱い等について」を通知した。新藤総務大臣は、各自治体での行財政改革の取組に敬意を表すると述べる一方、今回の地方公務員の給与削減要請は、単に地方公務員の給与の高さや国の財政状況の厳しさから行うのではなく、「日本の再生」に向け、国と地方が一丸となってあらゆる努力を結集する必要がある中、当面の対応策として平成二十五年度に限り緊急にお願いするものであり、消費税増税について国民の理解を得るために、公務員が先頭に立って「隗より始めよ」の精神で更なる行財政改革に取り組む姿勢を示すことが重要との認識を示した。
 右を踏まえ、安倍内閣の地方公務員の給与改定に関する地方への対応について、以下質問する。

一 平成二十五年三月十九日の衆議院総務委員会の小川淳也委員の質問に対し、新藤総務大臣は地方公務員の給与の切り下げを要請する法的な根拠は、「地方公務員法の五十九条、そして地方自治法二百四十五条の四に基づく技術的助言という形でお願いをしているということであります。」と答弁しているが、政府の見解如何。

二 前記一の新藤総務大臣の答弁の示すように、自治体に対する技術的助言であり、強制力を持つものではなければ、要請を受けて給与を削減しない自治体があっても地方交付税等の財政的な制裁措置はもとより、あらゆる制裁的措置は行わないということでよいか。

三 地方公務員の給与については、地方公務員法の第二十四条第三項で「生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」とされている。また、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律の附則第十二条において、「地方公務員の給与については、地方公務員法(中略)及びこの法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとする。」とある。今回の地方公務員の給与削減要請に関して、政府が更なる立法措置をとることはないと理解してよいか。

四 「平成二十五年度予算編成の基本方針」に関して、政府は、自治体が「国家公務員給与の削減措置に準じて必要な措置を講ずる」旨の要請に応えなかった場合も想定していると理解してよいか。

五 「平成二十五年度予算編成の基本方針」の「それを反映して、平成二十五年度予算における地方交付税や義務教育費国庫負担金等を算定する。」という部分が、自治体への「強制力」になり得ることはないのか。

  右質問する。