質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第一二八号

拉致問題解決に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年六月十九日

有田 芳生   


       参議院議長 平田 健二 殿



   拉致問題解決に関する質問主意書

 安倍首相は、自分の在任中に拉致問題を解決するとたびたび発言しています。拉致被害者家族、特定失踪者家族も一般国民もその言葉の実現に強い期待を寄せています。しかし冷静に見るならば、拉致問題対策本部や官邸から発せられる言葉に対する期待感は高いものの、その結果が出ていません。首相のメッセージが強い分、結果や見通しが示されなければ、期待感は失速します。問題解決のために、現在の対策を再検討することも必要ではないかとの観点から以下の質問をします。

一 拉致問題対策室及び政府関連機関において情報収集が行われてきました。その成果を総合的にどう評価していますか。さらには、これからの課題はどこにあると総括していますか。具体的にお答えください。

二 拉致問題対策本部事務局の職員は、異なった省庁からの混成部隊で、その任期も二年と限られているため、成果を上げるモチベーションを保持することが難しい制度的な欠陥があると思います。原籍に復帰することを考えながら腰掛け的な仕事をする職員をいくら増やしても、何千日を費やしても、本部事務局職員としての練度を上げることができない状況にあるのではないでしょうか。この制度を改め、十年単位、あるいは成果を上げるまで原籍復帰を認めない制度として専門官を養成するつもりはありますか。

三 情報収集の最前線で働く人たちは、北朝鮮に対する理解度についてどれくらいの能力を備えていますか。拉致問題対策本部事務局に配属されるとき、北朝鮮問題についての一定水準の理解は採用の基準になっていますか。基準があるならば、どのような基準ですか。さらに拉致問題対策本部事務局には、朝鮮語を駆使できるスタッフは何人いますか。

四 国家機密に属する拉致情報を、日本に積極的にもたらす人物を日本に誘導する法的整備が必要ではないでしょうか。脱北者の日本への定住条件は、一九五九年から始まった「帰国運動」で北朝鮮に渡った人から数えて三代目までと限定し、人道的に保護するもの、とされています。日本から北朝鮮に渡った人で国家機密に接することができるレベルの人間はごく少数です。精度の良い拉致情報を効果的に入手する方法として、特別在留者の子孫でなくても、党、軍、政府高官及びその子弟の脱北者を保護し、日本国内での生命の安全、生活の保障をするための法整備と対応を進める考えがありますか。

  右質問する。