第183回国会(常会)
質問第一〇七号 八ッ場ダム本体関連工事に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十五年五月二十八日 大河原 雅子
参議院議長 平田 健二 殿 八ッ場ダム本体関連工事に関する質問主意書 国土交通省関東地方整備局は本年五月十七日、八ッ場ダム建設事業について平成二十五年度予算に計上された本体工事の準備に必要な関連工事(本体関連工事)の契約手続きを開始した。この本体関連工事に関して不明な点があるので、以下質問する。真摯に答えられたい。 一 八ッ場ダムの本体関連工事の契約手続きの内容 関東地方整備局が五月十六日に発表した記者発表資料によれば、五月十七日に行う契約手続きは、①骨材プラントヤード造成(掘削工及び盛土工、約九ヶ月、二から三億円未満)、②工事用道路(道路改良、約九ヶ月、二から三億円未満)、③作業ヤード造成(掘削工、約十五ヶ月、二から三億円未満)となっているが、相違ないか。 二 その他の本体関連工事 五月十七日に契約手続きを行った三つの本体関連工事の工費を合わせると、六から九億円未満である。一方、平成二十五年度の八ッ場ダム事業予算約九十八億円のうち、本体関連工事は約十八億円となっている。したがって、本体関連工事としては前記の三つの工事以外にまだ九から十二億円の予算が残されている。この残り九から十二億円の本体関連工事の具体的な内容とその各工事の実施予定時期を明らかにされたい。 三 本体工事の契約手続きまでの工程 新聞報道によれば、平成二十六年度には本体工事に着手する予定であるという。来年度に本体工事の契約手続きを開始するまでにどのような工事が行われていくのか、その具体的な工程を明らかにされたい。 四 八ッ場ダム工事事務所が五月十七日に入札公告を行った工事の内容 入札情報サービスで八ッ場ダム工事事務所が五月十七日に入札公告を行った工事の内容を見ると、①骨材プラントヤード造成工事(八ッ場ダム本体建設工事に伴う骨材製造設備のうち、大柏木地区において基盤造成工事を行うもの)、②盛土造成地線改良工事(八ッ場ダム本体建設工事に伴う骨材製造設備のうち、大柏木地区において工事用道路工事等を行うもの)、③八ッ場ダム本体左岸上部掘削工事(八ッ場ダム本体建設工事に伴う掘削工事のうち、川原畑地区において掘削工事を行うもの)の三件であるが、相違ないか。 五 関東地方整備局の五月十六日記者発表資料と五月十七日の入札公告の内容の齟齬、及び本体工事を早くも進める理由 関東地方整備局が五月十六日に発表した記者発表資料と八ッ場ダム工事事務所が五月十七日に行った入札公告を対照すると、①骨材プラントヤード造成工事、②盛土造成地線改良工事は同じ内容であるが、③は前者が作業ヤード造成であるのに対して、後者は八ッ場ダム本体左岸上部掘削工事であり、工事内容が明らかに異なっている。しかも、後者の③は本体関連工事ではなく、本体工事そのものである。記者発表資料では本体関連工事としておきながら、実際の入札公告では本体工事を早くも進めることになっている。 このように、なぜ本体工事を公にすることなく、早くも進めようとしているのか、その理由を明らかにされたい。 六 八ッ場ダム本体左岸上部掘削工事を行う場所 八ッ場ダム本体左岸上部掘削工事の入札公告を見ると、工事概算数量として、「掘削工約六万六千立方メートル、法面整形工約三千五百平方メートル、落石防止網工約三千五百平方メートル、仮設工一式」と記されている。 これを見ると、工事概算数量は明らかに本体左岸上部掘削工事を意味している。この本体左岸上部掘削工事を実施する場所を具体的に緯度経度で示されたい。また、本体工事のため、左岸で掘削工事を行う範囲の緯度経度も示されたい。 さらに、掘削工約六万六千立方メートルは面積、深度をどのように想定した数字であるのかを明らかにされたい。 七 八ッ場ダム本体左岸上部掘削工事を行うことによる現鉄道と旧国道への影響 八ッ場ダム本体左岸上部掘削工事を行う場所は現鉄道JR吾妻線と旧国道が通過している。落石防止網工が行われるとしても、現在、現鉄道JR吾妻線と旧国道は利用されているのであるから、落石の危険性を心配せざるをえない。このことに関して政府の見解を示されたい。 また、落石防止網工は具体的にどこからどこまでの場所に設けられるのかを明らかにされたい。 右質問する。 |