質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第九六号

TPP協定交渉における日米両国の公開文書の不一致に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年五月十三日

舟山 康江   


       参議院議長 平田 健二 殿



   TPP協定交渉における日米両国の公開文書の不一致に関する質問主意書

 日本政府は、平成二十五年三月十五日以降のTPP協定交渉に係る事前協議内容について、日米両国で確認した「合意文書」は、「日米間の協議結果の確認に関する往復書簡(仮訳)」(平成二十五年四月十二日)(佐々江駐米大使とマランティスUSTR代表代行の書簡)及び「自動車貿易TOR(仮訳)」(平成二十五年四月十二日)の二つとしている。
 これらの合意文書を受けて日本政府が作成した「日米協議の合意の概要」(以下「概要」という。)と米国USTRが作成した文書(以下「米国文書」という。)の内容には大きな隔たりがある。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 同じ合意文書に基づいたとされる両国の発表内容が、なぜこのように食い違うのかについて、日本政府としての見解を明らかにされたい。

二 日米両国で、事前に互いの発表内容を確認したか。

三 概要発表後、日本政府は、両国の発表文書の相違について、「USTRの発表内容には関知しない」と述べている。しかし、TPPのような貿易交渉において、日本側が発表した合意内容と食い違う内容が米国から発表された場合、少なくとも日本政府としては米国に事実関係を確認し、相違点を明らかにし、国民に説明した内容と異なるのであればそうなった理由を説明する義務があると考えるが、この点について政府の見解を明らかにされたい。
 そもそも、協議の相手国が自国と異なる内容を発表したことについて「関知しない」というのでは「合意」とはいえないと考えるが、いかがか。

四 自動車の分野に関し、概要と米国文書では、自動車貿易に関する交渉について、TPP協定交渉と並行して行うこととし、その協議対象事項が記載されている。また米国が輸入車にかける関税の撤廃時期を最大限遅らせること、及びこれは韓米FTAにおける米国の自動車関税の取り扱いを実質的に上回ることが合意されたとある。しかし、米国文書には「輸入自動車特別取扱制度(PHP)の適用台数を二倍以上に引き上げる」こと、「PHPの下で一モデルあたり年間五千台までの輸出が許可される」ことについて、「日本側から一方的決定を発表された」と記載されている。自動車分野に関して、日米事前協議の実際の合意内容はどのようなものなのか、明らかにされたい。

五 保険の分野に関し、米国文書には、「両政府は公平な競争条件の問題に取り組むことで合意した」と明記されている。また、「日本がかんぽ生命の新規商品の承認を当面凍結したと一方的に発表した」と記されている。しかし、日本政府の概要にも、佐々江大使書簡にもそのような記述はない。保険の分野に関して、日米事前協議の実際の合意内容はどのようなものなのか、明らかにされたい。

六 非関税措置に関し、概要では「TPP交渉と並行して非関税措置に取り組む」と触れているだけであるが、米国文書では、項目別に詳細な内容が列記されている上、「この結果は法的拘束力を有する協定等を通じて実施」とある。非関税措置に関して、日米事前協議の実際の合意内容はどのようなものなのか、明らかにされたい。

  右質問する。