質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第七四号

ハーグ条約及び親権の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年四月八日

浜田 和幸   


       参議院議長 平田 健二 殿



   ハーグ条約及び親権の在り方に関する質問主意書

 国際結婚が破綻した夫婦間の子供の扱いを定めたハーグ条約の加盟承認案と国内手続きを定める条約実施法案が、衆議院で審議入りした。両法案に関連して、親権の在り方について以下質問する。

一 調停や裁判による離婚の場合、国内の家庭裁判所では、連れ去った親の側に親権が与えられ、連れ去られた側の親は月一回程度の面会しか認められない判決が圧倒的に多く、その面会も理由を付けて拒絶され、子に全く会えなくなった苦痛から自殺する親もいる。
 こうした現状に対処する国内法の整備がされていない中でハーグ条約に加盟した場合、国際結婚が破綻した場合のみ条約が適用される一方、日本人同士の結婚が破綻した場合は連れ去った側に有利なままであり、ダブルスタンダードを認めることとなるが、政府の見解如何。

二 平成二十四年四月一日に施行された民法等の一部を改正する法律により改正された民法第七百六十六条には「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。」と明記されているが、親権のある方の親が理由を付けて面会を拒否した場合、面会権が正当に行使されず、親権を持たない親はわが子に会えないのが実情である。この問題に対する政府の見解如何。

三 欧米では離婚後も両方の親がそれぞれ親権を持つ「共同親権」が一般的であり、ハーグ条約の基本理念も同様の趣旨であるのに対し、日本では民法第八百十九条第一項「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。」、第二項「裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。」として「単独親権」を明記している。「親権」の認識についても、「親子関係」とは法律上別の概念であるが、家庭裁判所では「親権がなくなれば親でなくなる」と考えている節のある判決が頻出している。条約と国内法の間の矛盾をなくすために、一日も早く離婚後の親権については、法律を改正し単独親権から共同親権へと制度を変更すべきと考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。