質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第五九号

大牟田労災病院廃止に伴う確認書に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年三月十五日

松野 信夫   


       参議院議長 平田 健二 殿



   大牟田労災病院廃止に伴う確認書に関する質問主意書

 本年は、昭和三十八年十一月九日に発生した三井三池炭鉱炭じん爆発事故から五十年目にあたる。同事故は、死者四百五十八名、一酸化炭素中毒患者八百三十九名を出す大災害であった。
 大牟田労災病院は、三井三池炭鉱炭じん爆発事故を契機に設立された病院であったが、労災病院の再編計画により平成十八年三月三十一日に廃止された。同病院は、独立行政法人労働者健康福祉機構から財団法人福岡県社会保険医療協会に移譲され、廃止翌日から同協会が運営する大牟田吉野病院として再出発した。
 病院施設移譲にあたっては、厚生労働省と同協会とで一酸化炭素中毒患者に係る特別対策事業の委託契約がなされるとともに、同省と患者団体である大牟田労災病院廃止反対連絡会議との間で平成十八年三月九日付「確認書」が交わされている。
 しかし、「確認書」締結から八年目を迎えるにもかかわらず、いまだその内容が実現されるどころかそのめども立たないとして、現地、関係者からの訴えが後を絶たない。一酸化炭素中毒後遺症に加えて高齢化に伴う症状もあり、以前にもまして医療が必要な状況であることから、このまま放置できない状態である。
 昨年八月二十九日にも「大牟田労災病院廃止に伴う確認書に関する質問主意書」(第百八十回国会質問第二四一号。以下「質問主意書」という。)が提出され、同年九月七日に答弁書(内閣参質一八〇第二四一号。以下「答弁書」という。)が送付されたが、なお曖昧な点があり、またその後、改善等がなされたのかも含めて、以下のとおり質問をする。

一 答弁書では、病床の百床体制及び各診療科への常勤医師の配置について現時点で実現できていないことを認めているが、質問主意書にある「CO中毒患者のみの診療・療養に特化せず広く一般に開放し、地域医療に貢献するため高次脳機能障害の中核的医療機関を目指す運営を行う」という点については言及されていない。この点も実現しているとはとうてい言い難いと考えているが、政府も同様な認識であるか示されたい。
 とりわけ「地域医療に貢献するため高次脳機能障害の中核的医療機関を目指す運営」という点に関し、吉野病院について、具体的にどのような施策を行ってきたか明らかにされたい。
 また、政府は実現できていない理由として「医師の確保が困難である等の事情」を挙げているが、この場合の「等」とは何を指しているか、実現できていない全ての理由を示されたい。

二 答弁書では、「吉野病院では、神経内科、内科、精神科及びリハビリテーション科を設置し、外来診療を実施している」としている。しかし、「確認書」では各科を設置するだけではなく「各診療科に常勤医師を配置することとする。」としている。
 そこで、各診療科に常勤医師がどのように配置されてきているか、「確認書」の作成以降、現在に至るまでの具体的な医師名を特定して明らかにされたい。
 また、外来診療を実施しているとしているが、実際には外来診療は実施していないのではないか。仮に実施しているというのであれば、大牟田労災病院時代から引き続き受診している患者ではなく、吉野病院になってから新たに外来で受診した患者の人数を診療科ごとに年別に明らかにされたい。

  右質問する。