質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第二三号

原子力規制庁の審議官が日本原電の役員に公表前の専門家会合の情報を漏洩した件に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年二月八日

平山 誠   


       参議院議長 平田 健二 殿



   原子力規制庁の審議官が日本原電の役員に公表前の専門家会合の情報を漏洩した件に関する質問主意書

 原子力規制庁(以下「規制庁」という。)は二月一日、規制庁の審議官が公表前の専門家会合の報告書案を日本原子力発電株式会社の役員に手渡し、その内容を漏洩させたとして、訓告の上更迭し、文部科学省に異動させたと発表した。この対応について、重大な問題があると考えられるので、以下質問する。

一 この情報漏洩に関して、二月五日に国会内で規制庁の担当者にいくつかの質問をしたところ、担当者が答えることができない項目が多く存在した。同担当者からは、「審議官からは処分のためのヒアリングを行った」、「渡した事実を確認すれば十分」という発言があった。今後の再発防止を考える上では、処分以上に真相究明が非常に重要と考えるが、本件に関する調査は、処分のための調査で十分と考えているのか、あるいは徹底した真相究明が必要と考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。

二 本件は規制官庁の職員が、規制対象の事業者に規制に関する重要な情報を漏洩しており、便宜供与と見なすこともできる。政府は本件を便宜供与と捉えているのか、捉えていないのか、理由を含めて説明されたい。

三 処分によって当該審議官は出身元の文部科学省に異動したとされているが、事実であるか。また、規制庁の設置についての国会の審議では、規制庁に異動した職員は、出身元の省庁には戻らないという「ノーリターン」ルールを徹底することを当時の原発担当大臣が何度も明言している。当該審議官が、出身元の文部科学省に戻ったならば、ノーリターンルールに反すると理解することもできる。五年間は「特にやむを得ない事由がある」場合に限り例外とする規定があるものの、情報漏洩による処分がやむを得ない事由にあたるとは考えにくい。このことについて、政府の見解を示されたい。

四 規制庁は、前記三の審議官への訓告を「内規では最も重い処分」としているが、国家公務員法第八十二条では、職務上の義務違反に対して、免職や停職などの懲戒処分を規定している。今回の情報漏洩は原子力安全や事業者との癒着根絶といった国家の重要な課題と結びつく問題であると思料するが、なぜ、内規による処分にとどまっているのか、その理由を示されたい。

五 規制庁は独立機関である原子力規制委員会の事務局として設置されているが、その独立機関の事務局で事業者との癒着とも受け取られかねない情報漏洩が起きたことに対し、政府は、いつまでに、どのような方法で再発防止策を講じるのか。また、規制庁が再発防止策を検討するのか、外部の第三者機関に検討を委ねるのか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。