質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第一三号

「北朝鮮人権法」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年一月三十一日

有田 芳生   


       参議院議長 平田 健二 殿



   「北朝鮮人権法」に関する質問主意書

 「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」(平成十八年法律第九十六号、以下「この法律」とする)に関し、質問します。

一 政府がこの法律で解決すべき人権侵害問題とは、政府認定・未認定に関わらず、すべての拉致被害者の救出と朝鮮半島出身者である夫などに随伴して北朝鮮に渡航した日本人配偶者の安否確認及び希望者の帰国問題であると理解してよろしいですか。

二 古屋圭司拉致問題担当大臣は、平成二十五年一月二十五日、拉致の可能性を排除できない失踪者、いわゆる「特定失踪者」の家族や支援団体と面会しました。その際、「政府認定の被害者だけでなく、拉致された日本人全員を取り戻すことが完全解決だ」と語っています。古屋大臣の発言が、拉致問題解決に関する日本政府の公式見解と理解してよろしいですか。そうだとしたら「拉致された日本人全員」とは何人ですか。

三 「拉致問題の解決に向けた方針と具体的施策」(平成二十五年一月二十五日拉致問題対策本部決定)の「2.具体的施策④」は、拉致の可能性を排除できない事案の捜査・調査の徹底を方針としています。それによって得られた情報を、失踪者の家族・親族に提供していく計画はありますか。

四 前記三について、政府が知り得た情報が、安否情報を待ち続ける失踪者の家族・親族に提供された事例はありますか。あるとすれば、どうした場合でしょうか。ないとすれば、その理由をお示し下さい。

五 拉致被害者等支援室は、「経費分担に関する基本的な考え方2」(平成二十三年五月)で「政府による経費負担が可能な項目」として会場費などの五項目を列挙しています。この支出の根拠となる内部規定(規則・要綱など)をお示し下さい。

六 政府による経費負担可能項目の中に拉致被害者家族の旅費はありますが、特定失踪者家族の旅費はありません。この法律第六条の趣旨に違反していませんか。政府の見解を伺います。

七 全国各地で拉致問題解決のために支援活動を展開している団体・個人のほとんどは、財政難に直面しています。この法律第六条による政府の財政上の支援が「家族会」のみに支出されている理由は何でしょうか。

八 平成二十三年度の拉致問題対策推進経費の予算額と決算額の内訳、及びこの法律第六条各項における支出額と内訳を明らかにして下さい。あわせて各予算項目に不用額が発生している場合にはその理由をお示し下さい。

九 自民党は平成二十五年一月二十五日の北朝鮮による拉致問題対策本部の会合で、国連における北朝鮮人権状況に関する「新たな調査メカニズム」設置を求めていくことを決定しています。政府は「新たな調査メカニズム」が設置された場合、この問題で活動する民間団体やNGO団体に、この法律第六条の規定を適用する予定はありますか。

十 政府は国連において、前記九の「新たな調査メカニズム」が設置された後に、北朝鮮の拉致問題及び人権侵害状況が改善されなければ、この法律第八条を適用して必要な措置を講ずる方針ですか。

  右質問する。