質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇号

デフレからの早期脱却に向けての雇用・賃金拡大策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年一月三十日

荒井 広幸   


       参議院議長 平田 健二 殿



   デフレからの早期脱却に向けての雇用・賃金拡大策に関する質問主意書

 政府は、平成二十五年度税制改正の大綱を一月二十九日に閣議決定した。大綱においては、民間投資の喚起と雇用・所得の拡大のための税制措置として、企業が新規雇用を増加させた場合や従業員の賃金を増加させた場合の減税措置が講じられており評価する。しかしながら、この減税措置のみで企業が実際の雇用や賃金の拡大を選択するかはいまひとつ不透明である。実際、企業の内部留保はデフレ下において拡大傾向にあるとともに、これを雇用や賃金の維持・拡大等に向ける試みは進んでいない。そこでデフレからの早期脱却を図り、アベノミクスの効果が国民生活に早く浸透するように、雇用・賃金の拡大策について、以下提言を交え質問する。

一 平成二十三年度税制改正で創設された雇用促進税制の適用実績について明らかにされたい。

二 企業の内部留保がどのように推移しているのか、企業の規模別に政府の承知するところを明らかにされたい。また、企業の内部留保がどのような実態で運用されているのか、現金・預金、売掛金、有価証券、土地、固定資産等の資産項目ごとに、政府の承知するところを明らかにされたい(いずれも平成元年以降)。

三 企業の配当の実績及びこれに対する課税の実績を明らかにされたい(いずれも平成元年以降)。

四 法人税率を引き下げた場合、企業がその減税分を活用してどのような方策を考えているのか、また、従業員の雇用・賃金を拡大する考えはあるのか、政府が実態調査をしているのであれば、その結果を明らかにされたい。

五 平成二十五年度税制改正において、企業が新規雇用を増加させた場合や従業員の賃金を増加させた場合の減税措置が講じられる見通しであるが、現在、全法人の約七割は赤字法人であり、今回の減税のメリットは受けられない。赤字法人であっても新規雇用や賃金を増加させた場合には、例えば補助金を支給するなど、今回の雇用・賃金拡大策が実効あるものとなるよう政府として検討すべきではないか。

六 デフレからの早期脱却を図るためには、企業の内部留保を活用して従業員の雇用・賃金を拡大するとともに、社会保障を充実させるべきと考える。そこで企業が多額の内部留保を保有しているにもかかわらず、それを活用せず雇用・賃金を拡大しない場合には、①配当に対する課税を強化するとともに、②企業の内部留保のうち過大な流動資産等に課税するような仕組みを検討すべきと考える。こうした提案につき、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。