質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第四号

北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年一月二十八日

有田 芳生   


       参議院議長 平田 健二 殿



   北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者に関する質問主意書

 北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者である藤田進氏(昭和五十一年二月七日から行方不明。埼玉県川口市在住(当時)。以下「進氏」とする。)に関して、以下質問します。

一 警察庁警備局外事情報部外事課及び国際テロリズム対策課は、拉致の可能性を排除できない失踪者八百六十八名を捜査・調査していることを明らかにしました。進氏はこのなかにふくまれていますか。

二 前記一において進氏がふくまれる場合、政府が進氏を拉致の可能性を排除できない失踪者として把握したのはいつからですか。

三 平成十六年七月、東京歯科大学法人類学研究室の橋本正次助教授(当時)は、脱北者が北朝鮮から持ち帰った写真を鑑定しました。橋本氏は法人類学的な見地から、この写真の人物が失踪前の進氏と同一の可能性が極めて高いと判断しています。政府は、この鑑定結果をどのように評価していますか。

四 政府は前記三の鑑定以外に、関係機関が当該写真を鑑定したことを認識していますか。認識している場合、どの機関が行ったかを鑑定結果とともに明らかにしてください。

五 政府は北朝鮮から進氏と思われる写真を持ち帰った脱北者と接触し、情報収集などを行いましたか。

六 進氏の弟・藤田隆司氏(以下「隆司氏」とする。)は、平成二十四年七月、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会強制的失踪作業部会に出席し、兄失踪の件を調査議題として提訴しました。その際、政府は隆司氏の渡航費用を拠出、かつ政府職員を随行させています。その目的と理由を明らかにしてください。

七 前記六の提訴は受理され、同作業部会は同年八月十五日付で北朝鮮政府に対して進氏の人権を守るために居場所と安否を明らかにすることを求める書簡を送付しています。政府はこの事実を承知していますか。

八 同作業部会に対する北朝鮮政府からの返答は、五か月が経過した今日においてもありません。政府は北朝鮮政府に対して返答を行うよう働きかける用意はありますか。

九 政府は進氏の拉致に関して、今後の日朝協議において問い質す予定がありますか。ない場合には、その理由をお示し下さい。

十 政府が進氏を拉致被害者と認定しない理由は何か。具体的に明らかにしてください。

  右質問する。