質問主意書

第183回国会(常会)

質問主意書


質問第三号

警察庁が開示した行政文書に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年一月二十八日

有田 芳生   


       参議院議長 平田 健二 殿



   警察庁が開示した行政文書に関する質問主意書

 平成二十四年十二月六日付で警察庁により開示された行政文書「都道府県別捜査・調査対象者数 平成二十四年十一月一日現在」に関し、以下質問します。

一 警察庁警備局外事情報部外事課及び国際テロリズム対策課は、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者として八百六十八名(以下「この八百六十八名」とする。)を捜査・調査していることを明らかにしました。この八百六十八名の中に政府認定の拉致被害者はふくまれていますか。

二 この八百六十八名について、各々の失踪に関する届出を受理したのはいつですか。年度別に件数をお示し下さい。

三 拉致問題対策本部及び外務省など政府関係部局は、この八百六十八名の情報を共有していますか。認定・未認定に関わらず、すべての拉致被害者を救出するわが国の方針を実現するための取り組みはすでに始まっていますか。今後の取り組みの見通しとあわせてお尋ねします。

四 政府は拉致問題対策本部のホームページの中で、拉致の可能性を排除できない三十数名について、北朝鮮に情報等を提供し、繰り返し調査を求めていると明記しています。今後、日朝協議が再開された場合、三十数名同様この八百六十八名についても北朝鮮に情報を提供し、調査を求める予定ですか。求めない場合には、その理由をお示し下さい。

五 政府は平成二十三年四月一日の閣議決定において、国の「人権教育・啓発に関する基本計画」を変更しました。そこでは「北朝鮮当局による拉致問題等」との一項目が加えられ、「このほかにも拉致された可能性を排除できない事案があるとの認識の下、所要の捜査・調査を進めている」と明記しています。今後、国及び地方公共団体が拉致問題等の人権教育・啓発を推進していく中で、この八百六十八名について積極的に言及していく予定はありますか。

六 「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」(北朝鮮人権法)の各規定は、この八百六十八名に適用されますか。

七 政府は平成二十四年三月三十日開催の拉致問題認定分科会第一回会合で、認定三条件(①北朝鮮による国家的意思が推認される形で、②本人の意思に反して、③北朝鮮に連れていかれたもの)を挙げています。現在政府が認定している十七名はすべてこの三条件を満たしていると理解していいですか。

八 政府はこの八百六十八名についても同様の三条件に照らし合わせて認定作業を進めていくのですか。その場合、作業の終了時期はいつごろですか。また、現行の認定基準を見直す考えはありますか。見直すとしたら、その結論が出るのはいつごろですか。

九 政府はこの八百六十八名の家族・親族から現時点での捜査・調査状況について情報提供して欲しいとの依頼があった場合、応じる用意はありますか。応じるとしたら、どのような方法で情報提供されるのでしょうか。

十 政府は認定拉致被害者のみならず、この八百六十八名の失踪者全員について捜査、調査、認定及び救出が終わらない限り拉致問題が解決したとは言えないと判断していますか。

  右質問する。