第181回国会(臨時会)
答弁書第四二号 内閣参質一八一第四二号 平成二十四年十一月二十二日 内閣総理大臣 野田 佳彦
参議院議長 平田 健二 殿 参議院議員佐藤正久君提出尖閣諸島の一部国有化に伴う各種影響等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員佐藤正久君提出尖閣諸島の一部国有化に伴う各種影響等に関する質問に対する答弁書 一について 御指摘の「特定の国」及び「独自の主張」との表現については、アジア欧州会合(ASEM)における議論の内容が非公開であることを踏まえたものである。同会合における野田佳彦内閣総理大臣の対応は適切であり、「大きな課題を残した」との御指摘は当たらないと考えている。 二について 尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、現に我が国はこれを有効に支配している。したがって、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない。また、政府による尖閣諸島の魚釣島、北小島及び南小島(以下「尖閣三島」という。)の取得については、我が国の土地の所有権の移転であり、他の国や地域との間で何ら問題を惹起すべきものではないと考えている。尖閣三島を取得した本年九月十一日以降、日中間で生じた御指摘のような事例は、政府としても把握しているところであるが、お尋ねの「影響が大きい」か否かの判断については、単純に比較できないものであり、一概にお答えすることは困難である。 お尋ねの「各種経済指標の動き」については、我が国経済及び中国を含む海外経済全体の動向を勘案する必要があり、尖閣諸島をめぐる事態との因果関係は必ずしも明らかではないが、例えば、同月の我が国の対中輸出は、対前年同月比で約一割四分減少したと承知している。 我が国として、尖閣諸島をめぐる事態が、経済分野を含む日中関係の大局に影響を与えることは望んでおらず、政府としては、中国側に対して、このような我が国の考え方を累次説明し、適切に対応するよう働きかけているところである。 三及び四について 二についてで述べたとおり、今般の尖閣三島の取得については、他の国や地域との間で問題を惹起すべきものではなく、官民の様々なレベルの交流事業等において、尖閣諸島に関する中国独自の主張に基づく言動により、中国側出席者が参加を取りやめるなどの影響が生じていることは遺憾であると考えている。 また、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は存在しないが、政府としては、尖閣諸島をめぐる事態については、これが日中関係の大局に影響を与えることがないよう、中国との間で、様々なレベルで様々な態様により意思疎通を維持し、又は強化しているところであり、お尋ねのような「担当部署」を内閣府に設置する考えはない。 五について 竹島問題に対応するための政府の体制強化の一環として、内閣官房に「竹島問題対策準備チーム」を設けたところであり、現在、同チームにおいて、国民世論の啓発及び国内における調査のための準備を進めている。更なる体制の強化については、今後、関係省庁間で協議を行い、検討を進めていく考えである。 領土問題は、我が国の主権に関わる極めて重要な問題であり、御指摘の体制整備の面を含め、我が国の立場を確保し、主張していく上で、より有効な方策を不断に検討していく考えである。 |