第181回国会(臨時会)
答弁書第二七号 内閣参質一八一第二七号 平成二十四年十一月十六日 内閣総理大臣 野田 佳彦
参議院議長 平田 健二 殿 参議院議員福島みずほ君提出使用済核燃料とプルトニウムに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員福島みずほ君提出使用済核燃料とプルトニウムに関する質問に対する答弁書 一について 「原子力政策大綱」(平成十七年十月十一日原子力委員会決定)において示された「利用目的のないプルトニウムを持たないという原則」については、同月十四日に、原子力政策に関する基本方針として尊重する旨の閣議決定がなされており、「革新的エネルギー・環境戦略」(平成二十四年九月十四日エネルギー・環境会議決定。以下「戦略」という。)においても引き続き従来の方針に従い再処理事業に取り組むこととされており、現在もその原則に変更はなく、また、現時点で法制化の必要はないと考える。 二について 核燃料サイクルについては、戦略において、従来の方針に従うこととしており、政府としては、核不拡散や原子力の平和的利用という国際的な責務を果たしながら、関係自治体との約束を重く受け止めて再処理事業に取り組まなければならないと考えている。 三について 原子力委員会については、その在り方に関する抜本的な見直しに向けた検討の場を設け、今後の原子力行政の体制の在り方について議論しているところであり、現時点ではお尋ねにお答えすることは困難である。 四について プルトニウムを含む核燃料物質の管理については、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)において安全の確保を旨として行うことが基本方針とされており、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)の規定に基づき、原子力の研究、開発及び利用における安全の確保を図ることについては原子力規制委員会が、計量管理等の保障措置を実施するための規制については文部科学省が、必要な規制をそれぞれ行っている。 お尋ねのプルトニウムの「処分」については、具体的にどのような行為を指すのか明らかでないため、お答えすることは困難である。 五について 核セキュリティに関する事務については、関係する行政機関において所掌しているが、原子力規制委員会設置法(平成二十四年法律第四十七号)第四条第一項第七号の規定により、核セキュリティに関する関係行政機関の事務の調整については、原子力規制委員会が所掌している。また、核不拡散に関する事務については、平成二十五年四月一日以後は、同法附則第九十六条の規定による改正後の同法第四条第一項第四号により同委員会が所掌することとなっている。原子力規制庁は、同委員会の事務局として、これらの事務を処理することとされている。 お尋ねの「行動計画」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、核不拡散や原子力の平和的利用という責務を果たすとともに、「核セキュリティの確保に対する基本的考え方について」(平成二十三年九月十三日原子力委員会決定)及び「我が国の核セキュリティ対策の強化について」(平成二十四年三月二十一日原子力委員会決定)も踏まえ、核セキュリティ確保のための取組を進めることとしている。 六について 御指摘の「検討と作業」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、戦略では新たな原子力政策を、エネルギー・環境会議における議論を中心として、確立することとしており、同会議においては、核燃料サイクル政策については、本年末までは、経済産業省及び文部科学省が取り組むこととしている。 七について 本年末の策定を目途に検討を行っている「グリーン政策大綱」は、再生可能エネルギーを始めとするグリーンエネルギーの拡大に向けた工程の具現化を図るものであり、核燃料サイクル政策を対象とすることは考えていない。 八について 戦略における「二千三十年代に原発稼働ゼロを可能とする」とは、エネルギー・環境政策におけるグリーンエネルギー拡大等の政策資源投入についての目標である。エネルギー・環境政策を遂行する中で、そうした目標の実現が相当程度の確実性をもって見通されたときに、そこから先のことについて具体的な議論ができるものと考えている。 核燃料サイクルについては、戦略において従来の方針に従うこととしており、政府としては、核不拡散や原子力の平和的利用という国際的な責務を果たしながら、関係自治体との約束を重く受け止めて再処理事業に取り組まなければならないと考えている。 いずれにせよ、今後のエネルギー・環境政策については、戦略を踏まえて、関係自治体や国際社会等と責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する。 |