質問主意書

第181回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一七号

内閣参質一八一第一七号
  平成二十四年十一月十三日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員浜田昌良君提出消費税延納制度の改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出消費税延納制度の改善に関する質問に対する答弁書

一について

 貨物を輸入しようとする者(以下「輸入者」という。)は、原則として貨物の国内への引取りの都度納税申告を行い、当該納税申告に係る消費税の納付に際し、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第五十一条第一項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物についての消費税の納期限の延長の制度(以下「延納制度」という。)を利用することができるが、全国の年間の納税申告が約二千万件にも及ぶ上、一の輸入者が一定の期間内に複数の納税申告を行っているため、輸入者の総数を承知していない。そのため、お尋ねの延納制度の利用事業者数、輸入者全体に占める事業者の規模別の延納制度の利用者の比率については、把握していないが、平成二十四年四月に行った輸入許可について、延納制度を利用したものの割合を一定の条件の下で試算したところ、資本金が一億円以下の輸入者に係るものが一割強となっており、資本金が一億円超の輸入者に係るものが四割弱となっている。なお、輸入者が延納制度を利用するかどうかの判断は、輸入者自身の個々の事業の内容等、様々な事情によると考えられる。

二について

 延納制度に係る担保の提供状況は把握していないが、平成二十四年五月一日時点で税関に提供されていた全ての担保件数についての種類別の割合は、その九十パーセント以上が国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第五十条第六号に規定する保証人の保証であり、これに次いで、同条第七号に規定する金銭、同条第一号に規定する国債及び地方債、同条第二号に規定する社債その他の有価証券、同条第五号に規定する鉄道財団等、同条第三号に規定する土地があると承知している。また、同時点で、税関に提供されていた担保件数のうち土地が占める割合は一パーセント未満であり、同条第四号に規定する建物は担保として税関に提供されていない。

三について

 税関に担保として提供する保証人の保証としては、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行、信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第二条に規定する信用金庫及び保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項に規定する損害保険会社その他税関長が資力等が確実であると認める者による保証を認めているところである。また、お尋ねの保証料率並びに年間保証料額及びそれから割り出した保証金額の概数については、承知していない。

四及び七について

 三についてで述べたとおり、保証料率について承知していないため、小規模事業者に対する保証料率が割高かどうかを承知していないことから、それを前提とした担保制度の見直しについては、現時点では検討していない。
 延納制度については、これまでも輸入者の利便性に配慮しつつ、国税債権の確保及び税の公平性の確保の観点から適正に実施してきたところであるが、今後とも、輸入者からの照会に対して担保提供の手続を分かりやすく説明することを含め、延納制度の円滑な実施に努めてまいりたい。
 今般の消費税率の引上げに伴う中小事業者等のための納税環境整備として、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第六十八号)により、消費税の任意の中間申告を可能とする制度が導入されることとされたところである。また、現在、同法第七条第一号ホの規定等を踏まえ、消費税の円滑かつ適正な転嫁に支障が生ずることのないよう、より徹底した転嫁対策等を講ずるべく検討を進めているところであり、加えて、延滞税の利率を含めた負担の見直しについて、平成二十五年度税制改正時に成案を得るべく検討を進めている。

五について

 土地及び建物については、相続税の課税時の課税標準額、担保物件の所有者の帳簿に記載されている簿価、不動産鑑定士が作成した不動産鑑定評価書の評価額その他の時価として適当と認められる価額を基にした時価評価額から滞納となった場合における延滞税及び担保の処分に要する費用として考慮した額を控除した額を担保限度額とすることとしている。平成二十四年五月一日時点で税関に担保として提供されている土地についても、輸入者から申出があった価額を時価評価額として、その約九割を担保限度額としていると承知している。なお、二についてで述べたとおり、同時点で建物は担保として税関に提供されていない。

六について

 二についてで述べたとおり、土地が税関に担保として提供されている割合は僅かであり、また、建物は担保として提供されていないが、輸入者が担保として提供することを希望する土地及び建物の実情等を踏まえ、引き続き、土地及び建物の担保としての評価を適正に実施してまいりたい。