質問主意書

第181回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一八一第一号
  平成二十四年十一月六日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 岡田 克也   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員平山誠君提出法曹養成制度検討会議に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員平山誠君提出法曹養成制度検討会議に関する質問に対する答弁書

一について

 司法修習生に対して修習資金(司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金をいう。)を貸与する制度(以下「貸与制」という。)は、裁判所法の一部を改正する法律(平成十六年法律第百六十三号)により導入されたものである。また、この修習資金に関しては、「裁判所法の改正に関する件」(平成二十二年十一月二十四日衆議院法務委員会決議)において、平成二十三年十月三十一日までに、「個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること」について格段の配慮を求められたことから、政府としては、御指摘の「法曹の養成に関するフォーラム」(以下「フォーラム」という。)を開催し、個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について検討した結果、フォーラムにおいて貸与制を基本とすることとされたことを受けて、貸与制を維持することとしたものである。
 御指摘の「司法修習終了者等の経済的な状況に関する調査」(以下「経済状況調査」という。)は、司法修習終了者等の経済的な状況を把握するため、最高裁判所、最高検察庁及び日本弁護士連合会の協力の下、フォーラムの庶務を担当する法務省において実施したものである。経済状況調査のうち、収入及び所得の調査については、司法修習終了後十五年以内の弁護士を対象として、平成十八年から平成二十二年までの収入及び所得の調査をしたものであり、同調査の回収率は、日本弁護士連合会からも対象者に対して同調査への協力を呼び掛けたところ、約十三・四パーセントとなったものである。
 フォーラムにおいては、前記決議の趣旨を踏まえ、経済状況調査の結果に加え、オブザーバーである日本弁護士連合会から提出された司法修習生や法科大学院生等へのアンケートの結果が記載された資料、当該フォーラムの構成員及びオブザーバーからの意見等を検討した結果、前記の結論に至ったものであり、政府としては、適切な手続の下に必要な検討が行われたものと考えている。

二について

 貸与制については、裁判所法及び法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律の一部を改正する法律(平成二十四年法律第五十四号)による改正後の裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律(平成十四年法律第百三十九号)(以下「新裁判所法等」という。)並びに「裁判所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成二十四年六月一日衆議院法務委員会。以下「附帯決議」という。)の趣旨等を踏まえ、経済的な事情によって法曹への道を断念する事態を招くことがないようにすることにも配慮して、法曹養成制度検討会議(以下「検討会議」という。)において検討を行う予定である。

三から五までについて

 政府としては、新裁判所法等において、学識経験を有する者等により構成される合議制の組織の意見等を踏まえて法曹養成制度について検討することとされるとともに、附帯決議において、「従前の検討体制をより強力にし、かつ、法科大学院及び法曹関係者以外の多様な意見も反映されるよう整備すること」とされたことを踏まえ、検討会議の構成員として、フォーラムの構成員でもあった者のほか、多様な知見等を有する四名の者を加えることにより、より多様な意見が反映されるよう法曹養成制度の検討体制を整備したものである。
 また、検討会議の審議の経過を公にすることの重要性に鑑み、検討会議は報道機関に公開されるとともに、会議資料及び会議の議事録は会議終了後速やかに法務省ホームページで公表されており、さらに、広く国民等の意見を適切に把握することの重要性を踏まえ、その検討過程において、パブリック・コメント手続を実施することとしている。

六から八までについて

 検討会議においては、司法修習生に対する経済的支援の在り方について、法曹養成の問題として、平成二十四年十月三十日に開催された第三回会議において検討を行ったほか、第八回、第十一回及び第十二回会議において検討を行う予定であり、第十三回会議以降においても、パブリック・コメント手続で提出された意見を踏まえつつ、更に検討を行う予定である。検討会議においては、その庶務を担当する法務省が提出する資料のほか、その構成員及びオブザーバーが提出する資料に基づき、附帯決議に示されている司法修習生の修習専念義務の在り方等を含む多様な観点から検討を行うことが予定されている。