質問主意書

第181回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四五号

日本年金機構の年金相談の改善に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年十一月十四日

浜田 昌良   


       参議院議長 平田 健二 殿



   日本年金機構の年金相談の改善に関する質問主意書

 横浜市在住の八十六歳の方から日本年金機構(以下「機構」という。)が行っている年金相談に関する相談を受けた。相談内容についての主な経過状況は次のとおりである。
 年金受給の可否について年金相談窓口で相談したところ、担当者より年金受給資格が発生すると言われた。約二十年間を要してようやく受給権を有していることが判明したことになる。直ちに年金請求手続きをすることとなったが、それから約二週間後、年金事務所から、回答が誤っており年金受給資格は発生しないとの訂正の連絡を受けた。この相談者の被った精神的ダメージが如何ばかりであったかは想像するに難くない。また、訂正連絡の際の説明は、その後の対処として脱退手当金の受給または受給資格期間の短縮に基づいて発生する受給権のいずれかを選択することが可能となるとの提示にとどまり、どちらかを選択する上で必須である脱退手当金の金額及び受給権発生後の年金額について情報を得たのは、約一か月半も経過した後であった。
 実際に起きたこの事例は、現在の機構の年金相談や事務処理についての一つの典型的な事例を示しており、機構の事務処理体制の適正化は一刻の猶予も許されないと考える。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 機構では、公的年金業務の事務処理誤り及び業務上発生した事件・事故について、「事務処理誤り等について」として、各月分を一括して取りまとめて公表しているが、平成二十四年度において、これまでに公表した四月分から九月分までの半年間分で、事務処理誤り等の件数は合計で何件になるか示されたい。また、同公表資料において、原因別件数については、確認不足、適用・認識誤り、届書等の放置、その他の四分類で集計しているが、半年間分の合計数はそれぞれ何件になるか、全体に占める割合とともに示されたい。さらに、届書等の放置において、放置した最長期間につき、政府の承知するところを示されたい。

二 機構の「来訪相談窓口管理運営マニュアル」(平成二十二年六月三十日制定、平成二十四年八月一日一部改正)によれば、年金相談窓口業務担当者に望まれる相談業務スキルとして、年金相談窓口各区分における担当者の年金相談業務経験(相談業務スキル)の目安が規定されている。老齢年金は一年以上、老齢年金(請求書事前送付分)は三か月以上、その他年金(障害・遺族年金)は三年以上、諸変更は一年以上、簡易な届出は二か月以上とされている。年金相談窓口各区分のそれぞれについて、正規職員、有期雇用職員(准職員、特定業務契約職員)等の職員種別による配置人数及びその割合につき、政府の承知するところを示されたい。また、「日本年金機構平成二十四年度計画」(平成二十四年三月三十日付厚生労働省発年〇三三〇第一七号認可。以下「平成二十四年度計画」という。)では、「平成二十四年度においては、常設相談窓口ブースの二割程度の正規職員化を目指す。」(九頁)とされている。現在の正規職員の配置率を示されたい。さらに、年金相談窓口の担当者のスキルに応じた適切な受付体制となっているかどうか、政府の見解を明らかにされたい。

三 平成二十四年度計画では、「年金相談担当者のブロック本部内及び事務所内研修の実施並びに現場でのOJTの展開、年金相談マニュアルの充実、研修講師養成研修の実施、窓口装置の操作研修の充実を図り、研修講師、相談員のレベルの統一化・向上を図るとともに、円滑かつ効率的に対応できる相談体制を整備する。」(十一頁)とあるが、現在の進捗状況を示されたい。また、毎月公表している「事務処理誤り等について」においては、四月分から九月分までの半年間で、最小が四月分の百七十件、最大が九月の二百十六件となっており、毎月二百件前後の事務処理誤りが依然として報告されているが、研修の成果について、政府の見解を示されたい。

四 厚生労働省が平成二十四年七月二十三日に取りまとめた「日本年金機構の平成二十三年度の業務実績の評価結果」によれば、「事務処理誤りについて、『総合再発防止策』に基づき関連するシステム開発などの各種取組の推進」を含む「内部統制システムの構築に関する事項」については、機構と厚生労働省はそれぞれ「日本年金機構平成二十三年度計画」(平成二十三年五月十六日付厚生労働省発年〇五一六第二号認可)をやや下回っていると評価している。前年度の評価である「日本年金機構の平成二十二年度の業務実績の評価結果」においても、機構と厚生労働省は「平成二十二年度計画」をやや下回っているとの評価をしており、二か年度にわたり計画を達成できていないとの評価結果となっているが、野田内閣は、この評価結果に対してどのように考えているのか明らかにされたい。また、平成二十年七月二十九日閣議決定の「日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画」では、組織づくりの理念として、「とりわけ、業務が正確に遂行されることが、国民にとって最大の関心事であり、これを重視する。」とされている。年金制度に対する国民の更なる信頼を得るためにも、同様の項目内容について三か年度にわたり計画を達成できないことは許されず、平成二十四年度計画の各項目内容を達成することは極めて重要である。野田内閣として、平成二十四年度計画の達成のために、機構に対して具体的にどのような指導を行っているのか明らかにされたい。

  右質問する。