質問主意書

第181回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四三号

中国の習近平新体制発足に際しての日本政府の方針に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年十一月十三日

佐藤 正久   


       参議院議長 平田 健二 殿



   中国の習近平新体制発足に際しての日本政府の方針に関する質問主意書

 中国では、今月八日より、中国共産党第十八回全国代表大会が開幕し、政治活動報告、中央規律検査委員会報告、党規約改正の審議後、新中央委員が選出され、習近平新指導体制が発足すると見込まれている。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 領海及び領土を他国の侵犯あるいは侵攻から守るのは国家の責務と考えるが、これについて日本政府の見解を明らかにされたい。また、中国船舶が尖閣諸島近傍の領海侵犯を繰り返す行為は、我が国に対する主権侵害だと考えるが、政府の見解如何。さらに、この領海侵犯を許している現状について、日本政府の評価を示されたい。

二 胡錦濤総書記は、今月八日の政治活動報告の中で、「国の海洋権益を守り、海洋強国づくりに取り組む」と述べ、「海洋強国建設」に言及した。南シナ海や東シナ海における中国の権益を守る強い意志を明確にしたということであり、我が国との関係で言えば、我が国固有の領土である尖閣諸島を奪取する方針をとり続けることを改めて明確にしたと考えるが、日本政府の見解如何。この方針は新指導部に引き継がれると考えるが、政府の見解如何。

三 「海洋強国建設」の方針を受け、日本政府は、危機管理上、現在の尖閣諸島近傍での中国による示威行動への対処に加え、将来的にステップアップするかもしれない挑発行為や尖閣諸島奪取等に備える必要がある。中国を刺激しないよう配慮し、危機管理上の備えを見合わせるということがあってはいけないと考えるが、政府の見解如何。

四 海上保安庁及び自衛隊の人員及び装備は、単に削減するのではなく、領海・離島保全のため、防衛及び警備機能を充実させるべきと考えるが、政府の見解如何。また、現在、海上保安庁は中国公船に対して退去要求を行う際、口頭でのみ実施しているが、他国公船に対する領海内における接舷・放水等の措置は、退去要求を目的とし、かつ比例原則に基づく措置であっても、国連海洋法条約に違反すると断言できるのか、政府の見解如何。さらに、領海保全能力を高めるため、領海侵犯を標榜して活動中の公船等に対し、前述の方法以外にも退去要求のための具体的措置ができるよう、国連海洋法条約に抵触しない範囲でこれまでの政府解釈を変更する、あるいは、新たに国内法を整備する等の方法を検討する考えはないのか、政府の見解を明らかにされたい。

五 胡錦濤総書記は、政治活動報告の中で「国家の主権を守り、いかなる外部の圧力にも屈しない」と発言している。これは米国を意識した発言と考えるが、これに対処するため、自衛隊の島嶼防衛・島嶼奪還能力の向上を図り、日米共同対処能力及び相互運用性の向上を図る考えはないか、政府の見解如何。さらに、自衛隊独自の島嶼防衛・警備能力を高めるため、中長距離の対艦ミサイル等の整備も必要と考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。